カテゴリ:ロイヤルアカデミー学校生活( 25 )

試験キャンセル。がーーん。

ロンドンに来てから初めてまともに風邪をひいてしまいました。
しかもよりによって、なんと大切なソロ演奏試験前日の夜に(T_T)

日曜日の夜、翌日は演奏試験ということで張り切って夜10時頃までアカデミーで練習して、家に戻ってくると、なんとなくのどや関節が痛い。

あれれ・・・なんか体の感じがおかしい、と思ってる間に熱が一気にぽぽぽーっと上がっていき、あっという間に39度に。

寝ようにも体中の関節が痛いのと気持ち悪いのと寒気で眠れない。

殆ど寝れずにベッドで一晩中苦しさに呻いたまま朝の8時に。
私の試験での演奏は昼の12時15分からの予定。

熱は依然39度近くあるし、ふらふらして歩くことすらまともにできない。

これが依頼を受けた演奏会とかだったら、点滴を打って這ってでもいかなきゃいけないところだけど、学校の試験だったら何とか日程変更も利くのではと思い、とりあえず朦朧としたまま私の担当教授のエルトン先生に電話。

事情を話すと、エルトン先生
「かわいそうにかわいそうに。大丈夫、心配しなくていいよ、ピアノ科の事務局に電話すれば、なんとか日程変更してくれるはず。」
と超やさしく仰ってくれて一安心。

続いてロイヤルアカデミーピアノ科の事務局に電話すると、
「OK。なんとか調整みるけど、調整がつかなかった場合は、学期末(3月末)になっちゃうわ。。いずれにせよ連絡するわね。お大事に」
とのこと。

うっ。3月末。。。
今回のラフマニノフ練習曲「音の絵」No.6&8&9は、かなり試験に向けて必死に練習してきたので、3月末まで延期というのはかなりショック。

でも風邪ひいたのは自己責任だし、代わりに弾く機会を与えてもらえるだけでも感謝しなきゃ(T T)

ということで、月曜、火曜の予定を、出張レッスン含め全キャンセルして、薬飲んで家でひたすらじっとしていたら、やっと熱が無事下がりました。素晴らしき日本製パブロン!

しかしまだピアノ科事務局からは代わりの試験日程決定の連絡は来ない。電話してみたけど担当者不在。これでいきなり試験明日ですとか連絡きても、風邪ひいてる間一切ピアノ触ってないし、むしろ困っちゃうかも・・;;;


いずれにせよ、私の23年間のピアノ人生の中で、初めての本番キャンセル。
体調管理も実力のうち。超反省です。
声楽家とかはもっと大変なんだろうな。
ピアノの本番は、熱があっても意識さえちゃんとしてて起き上がれれば、なんとか弾くことができるけど、歌はほんの少しの風邪でも影響出ちゃうっていうものね。

ロンドンでも日本でも風邪が大流行中の模様。
皆さんも気をつけて下さい m(_ _)m
by sayaka-blmusic | 2006-02-09 00:22 | ロイヤルアカデミー学校生活

二人で奏でる音楽(その2)

チェロのミッシェルとの演奏プレゼンテーション試験が無事終わりました!
曲目は、私の大好きなラフマニノフのソナタ for cello and pianoから、2,3,4楽章。

前の日記にも書いた通り、
ミッシェルは、無茶苦茶に練習を頑張る子で、
12月から週に3回、一回2時間のリハーサルを一緒に繰り返し、
結局、通算20回を越すリハーサルを経て、ようやく今週月曜に本番を迎えました。

この授業「Presentation in Performance」は非常にユニークな授業で、
演奏そのものだけでなく、
コンサート出演・企画に関係する諸々のマナーやテクニックも勉強する授業だったので、
この今回のプレゼンテーションでも、
プログラムノート(曲目解説)の書き方や内容、演奏前のトークなども合わせて評価されます。

数日前から、ミッシェルと、ラフマニノフの曲について図書館で本を借りて調べたりして、
プログラムノートを少しずつ作成。

トークは前半ミッシェル、後半私、という風に半々で担当することになったので、
本番前日も夜中までメールでトーク内容の打ち合わせ。

ただでさえ緊張してるのに、演奏直前に英語で曲紹介をしなくてはいけないのは私にとっては拷問。
本番前ギリギリまでブツブツ舞台裏で練習。
英語が母国語のミッシェルに、発音やイントネーションなどの最終確認をしてもらう。



本番では、
どうにかこうにかトークも無事舌を噛まずに終わり、
肝心の演奏は、
2楽章はお互い緊張してやや堅くなっていたものの、
3楽章位から肩の力が抜けてきて、
それぞれの本番独特のニュアンスにもお互い反応できるようになり、
4楽章になる頃には、
今までの20回以上のリハーサルの中でも最高の気持ち良さで演奏することができました。

やっぱりこの曲最高!ラフマニノフ最高!!
と弾きながら何度思ったことかわかりません。

色々と細かい失敗はあったけれども、
大満足。

演奏が終わった後も、
帰りのバスの中でもずっと、
ソナタのメロディやハーモニーが、体の中で鳴り響き続けている感じ。


自分の大好きな作曲家の大好きな曲を、
大切な友達と一緒に時間をかけて練習をしながら本番に向けて用意をして、
観客の皆さんと、その曲の素晴らしさを一緒に共有できる、

こんな幸せなことってないなぁ、と心の底から実感した一日でした。
by sayaka-blmusic | 2006-02-01 00:55 | ロイヤルアカデミー学校生活

緊張の克復方法

今日はロイヤルアカデミーの特別講座、「音楽家のためのメンタルトレーニング」の、第3回目のワークショップに参加してきました。

緊張の仕組みを学んだり、実際に本番前に精神状態を整える方法を学んだり、音楽家にとって、本当に実践的に役立つ授業です。

今日のテーマは「本番前に頭に浮かぶ、ネガティブな考えを乗り越えるには」。

確かに本番直前、舞台裏では、緊張のあまり
もうだめだー、とか、絶対失敗するー、という気持ちが頭から離れなくなることはよくある。

4人ずつのグループに分かれてディスカッションし、普段の本番前にに、どのようなネガティブな考えが頭にうかんでくるか、意見を出し合う。

ちなみに私のいたグループは、ピアノ専攻2人、チェロ専攻1人、バイオリン専攻1人。

「私にはやっぱり才能はないかもしれない」
「解釈が理解されなかったらどうしよう」
「先生や観客の期待に応えられないかもしれない」
「途中で分からなくなって止まってしまい大恥かくかもしれない」
「もっとうまい他の人と比較されて何か言われるんじゃないか」

などなど、どんどん意見が出てくる。
どの意見も「私のもその気持ち分かる分かる!」というものばかり。

どんな国でも、何の楽器を専攻していても、国際コンクールで活躍しているような人でも、皆同じように緊張するんだな、と思うと何だか正直少し気が楽になった。

面白かったのは、皆「大きなホールでの演奏より、小人数の前での小さなコンサートの方が緊張する」ということで意見が一致したこと。
「こんな小さなコンサートで緊張するのはおかしい」
と思い過ぎることで、余計緊張してしまうんだそうだ。

その後、それぞれの考えへの対処方法をまた皆で話し合う。

こんな風に、本番前の自分の精神状態を冷静に見つめ直したり、他の人の場合の話を一度に色々聞いたりすることは滅多にないので、本当に貴重な経験になった。


ところで緊張って、人間だけじゃなく、動物が生きて行くための本能として備わってるものらしい。

ライオンが敵に会った時、
選択できる方法はたった2つ。

戦うか、逃げるか。

この二つの間で迷った瞬間、筋肉が収縮し、フリーズしてしまう。心拍数はあがり、呼吸は浅く速くなる。

ピアノの本番も同じ。
舞台裏まで行ったら
もう逃げたくても逃げられない。
その結果、舞台までは逃げずに出て行っても、
実際「逃げ」の演奏(安全運転的な面白みのない無難な演奏)をしてしまうことは、よくあることだと思う。


ところで、授業で教わったことの中から、あらゆる場面の緊張の解消に役立つ実践方法を一つご紹介。

緊張してきたら、片目ずつを隠してかわりばんこにゆっくり右端から左端を見渡し、これを左右の目両方で交互に何度か繰り返すといいらしい。

緊張してくると、脳の活動が左脳に偏ってくるらしい。片目ずつ均等に使うことで、偏ってる脳の働きを均等にして、緊張をおさえることができるんだそうです。
by sayaka-blmusic | 2006-01-20 08:58 | ロイヤルアカデミー学校生活

二人で奏でる音楽

最近ロイヤルアカデミーで一番行動を共にしているのが、アメリカからの留学生、チェロ専攻の女の子ミッシェル。
私達は今月末のpresentation of performanceのクラス発表で、ラフマニノフのsonata for piano & celloを2人で共演する予定です。

もともとのきっかけは、入学したての10月にさかのぼります。

私は、ロイヤルアカデミーでの初アンサンブルは、どうしてもこのラフマニノフのソナタをやりたかったのだけど、なかなかパートナーのチェリストが見つからず、思い切って授業内で募集をかけさせてもらったところ、それまで一度も話したことのなかったミッシェルが、「私もこの曲大好きだから、是非一緒にやりたい!」と名乗りをあげてきてくれたのです。本当に感謝(T T)

色々話してみたら、好きな作家が一緒だったり、音楽以外の興味の方向(アートマネジメント)も一緒だったりして、あっと言う間に仲良くなりました。

欧米人は室内楽(2人以上で演奏するアンサンブルのこと。要するに合奏です)の合わせ(リハーサル練習)をあまりマメにしないという定説を一気に覆すかのごとく、ミッシェルはホントに頑張り屋さんで、12月半ば頃から冬休み中も含めて、なんと毎週2~3回(1回2時間)のリハーサルを設定してくれてます。

1フレーズずつどういう風に音楽を作っていきたいかとことん話し合ったり、ミッシェルがピアノでチェロパートを片手で弾きながら私がピアノパートを弾き、チェロなしのピアノ連弾バージョンで合わせてみたり。普通に通して弾いても30分に渡る大曲なので、それを部分ずつ細かく分けてきちんと仕上げて行くのは本当に大変な作業。

でも正直、ここまで徹底的にアンサンブルの練習をしたことは初めてだったので、すごくいい勉強になっています。(普通は本番前に軽く2、3回合わせるだけというパターンが多い)

かれこれ既に10回を越すリハーサルを共にしている間に、お互いの呼吸が自然とわかるようになってきた気がする。

音楽って、国籍とか文化の違いとかを越えて、一つのものを作り上げることができる最高の手段だなーと改めて思う。



今日は、ミッシェルのチェロの先生のレッスンと、私のアンサンブル専門の先生のレッスンが立て続けにあり、二人してレッスンのハシゴ状態。

最初のレッスンでは、もっと二人それぞれのソロが生きるようにということで、それぞれ遠慮しないで思い切り主張しあう方法を教わったのだけど、
うまく消化し切れないまま連続して次のレッスンに向かったら、今度は主張しすぎてしまったらしく、先生から、

「お互いの音をもっと聞いてアンサンブルを大切に!」

とのご注意が。


自分の音だけでなく、相手の一つ一つの音にも精一杯耳を澄ませて、お互いがリードすべきところでは、相手を一方的に引っ張っていくというより、相手も一緒に包み込むような感じで、メロディを奏でていく。
これが、実際なかなか難しい。

ちなみにこのMichael Dussek先生、バイオリニスト五嶋龍の最新アルバム等でも伴奏をされている方で、アンサンブルの現役超プロフェッショナル。アンサンブル専門の立場から、実践にすぐ役立つアドバイスをして下さるので、一時間の間に、自分たちでも驚く位、みるみる音楽が変わっていく。

色々試行錯誤しながらも、レッスンの終わり頃には、今までとはまた違ったアンサンブルの響きが生まれかけてきました。


1人より2人で作っていく音楽は、その相乗効果やお互いの化学反応で、時々思いもかけない至福の瞬間が生まれたりする。

本番まであと2週間、2人の間にどんな化学反応が起きて一つの音楽が仕上がって行くか、本当に楽しみです。
by sayaka-blmusic | 2006-01-18 07:20 | ロイヤルアカデミー学校生活

アシュケナージのリハーサル

昨日学校に行ったら、教室の前に一枚の張り紙が。

「明日、9:15PMからウラディーミル・アシュケナージが
当校のDuke's Hall(ロイヤルアカデミーの学校内にあるホール)にて
モーツァルトK414のコンチェルトのリハーサルをします。
興味のあるピアノ科の学生は見学ができるので下にsign upして下さい。」


ウラディーミルアシュケナージって、あのピアニストとしても指揮者としても世界的に超超有名な、あのアシュケナージ氏!!

ちなみに、クラシックに全然馴染みのない方のために例えて言うと、
学校の体育館でスティービーワンダーがリハーサルしに来るようなもんです。

タダで間近でリハーサルが見れるなんて、こんな機会絶対ない!なんとしてでも行くっ!と思い即サインアップ。ロイヤルアカデミーに入ってよかったーと今までで一番感じた瞬間かも(T T)


で、今日、行ってきました!!!

時間が遅いせいか、聴きにきている生徒もそんなに多くなかったので、せっかくだからと最前列の真ん中の席に座っちゃいました。約3メートル先にアシュケナージの背中。ここからだと、リハーサルの時のオケへの指示やコミュニケーションもしっかり聞こえるし^^

CDジャケットではダンディなナイスミドル的イメージが強かったのだけど、
実際のアシュケナージはオール白髪のおじいちゃん(後で調べたらもうすぐ70歳になられるそう)。でも、トレードマークの白いハイネックは健在で、やっぱりダンディだった(^^)


アシュケナージは、指揮者兼ピアニストなので、ピアノコンチェルトの際には
指揮者無しで、自分でオーケストラを指揮しながらピアノパートを弾くことで、良く知られています。どうやって指揮をするのかというと、
アシュケナージのリハーサル_e0030586_10462175.jpg

このように、ピアノを舞台に対して垂直に置き、観客に完全に背を向けてオーケストラの方を向くような形で演奏&指揮をします。ちなみに上の写真は実際のリハーサル開始前に携帯で撮影した写真。私含め生徒達みんなミーハー根性丸出しで、携帯で写真とりまくってました(笑)



いよいよリハーサル開始。
オーケストラは、ヨーロッパの選抜ユースオーケストラ。ロイヤルアカデミーの生徒も何人か参加しているようです。曲はモーツァルトのピアノコンチェルトK414。そういえば仙台国際音楽コンクールの第一次予選で弾いた思い出の曲です^^

アシュケナージの演奏は、CDは何枚も持っているけど、生で聴くのは初めて。
しかも表情も息遣いも分かるこんなに近くから聴けるなんて・・。

彼の演奏って、なんていうか、音が笑ってる。笑音っていうのかな。
ピアニスティックに完成されているというより、
もっと「人間ぽい」感じで、
喜怒哀楽の感情がそのまま音で伝わってきて、
音そのものが、泣いたり笑ったり怯えたり飛び跳ねたりしている。
生きている音。
生きている音楽。

彼の指揮も、手のみならず体も顔の表情も全て使っていて、
音楽が楽しくってしょうがない、っていうのが溢れるくらいに伝わってくる。
オーケストラのメンバーからも、ふとした瞬間に思わずつられて笑みがこぼれるくらい。


人間的にもすごくあったかくてユーモアたっぷりな人で、
オーケストラに指示する時も、決して高圧的に指示するのではなく、
「僕はここは2音目はpだと思うんだけど、どうだろう。やってみようか。」とか
「ここのピアノパートのパッセージはすごく音が離れてて弾きにくいから、
少し間を置いてもらわないと僕弾けないんだよね・・^^;」
とか、ものすごーく謙虚で優しい。
オーケストラと指揮・ピアニストの壁がすぐになくなり、
全員でひとつの音楽を作り上げていく雰囲気が、自然とできあがっていく。


彼が、ピアノコンチェルトで指揮とピアノを同時にできる理由が分かった気がした。

彼にとっては、ピアノとか指揮とか分けてる意識はなくて、
全ては、「音楽」を奏でている、という意識の中に入っちゃってるんだろうな。
だから、聴いている方も、彼が、ピアノパッセージを終えた瞬間に突然指揮を振り出したり、
またピアノに戻ったりしても、不思議と何の違和感も感じない。

終わった後も、超フレンドリーに、生徒達と普通に雑談したり写真とったりしていたので、
私も思い切って感想を伝えにいったら、
にこーっと笑いながら「ありがとう」と言ってあの少しごつごつした手でぎゅっと握手をしてくれた。


そういえば、
中学校の頃、ピアノを弾くことがなんとなく嫌になってしまった時期があって、
クラシックのCDを聴くことすら嫌だったんだけど、
その頃ですら、唯一好きで、ずっと繰り返し聞いてたのが、
アシュケナージの演奏しているラフマニノフのピアノコンチェルト3番のCDだったな、と、ふと思い出した。


もしかしたら、
私はあなたの「笑音」に助けられて、今ここにいるのかもしれないな、と思いながら、
色々なThank youの気持ちを込めて、彼の手を握り返した。
by sayaka-blmusic | 2005-11-24 10:51 | ロイヤルアカデミー学校生活

Gilead先生のレッスン

月曜朝10時。いつものようにエルトン先生のレッスン室へ向かうと、誰だか知らない男の人がレッスン室で練習している。こういうことは音大ではよくあることなので、「すみませーん、ここレッスンで使うんでどいて下さーい」と言ってどいてもらおうとドアノブに手をかけた瞬間、ふとよく見るとその男の方、生徒にしては少し、いやかなり若くない年齢のような気が。

そういえば昨日エルトン先生が私の携帯の留守電に
「ソーリーさやか、用事があってアカデミーにしばらく来れないので、”なんとか”先生のレッスンを受けてねー」
と言っていた気がするけど、てっきり来週のことだと勘違いしてた。
もう一度留守電を聞き返してみると、土曜日に「next week」と言ってるので、これはどうやら今日のことだったみたい。だけど留守電を何度聞いても「なんとか」先生のお名前の部分が聞き取れずじまい(汗)

とりあえず、今部屋の中でピアノを弾いていらっしゃる先生が今日のレッスンの先生だということは分かったものの、結局、その先生が一体どこのどなただか全く分からないまま挨拶をしてレッスン開始・・。

レッスンの曲は、この間Satz先生にも見てもらって今日は仕上げでエルトン先生に見てもらおうと思っていたエロイカバリエーション。

そしたら、
レッスンむっちゃくちゃ面白かったんです!!!

なんだかノリノリの先生で、先生ご自身も英語が母国語ではないらしくGerman-Englishの辞書を引きながら、私もつたない英語を駆使しながらの危ういコミュニケーションだったんだけど、各パッセージをオーケストラの楽器や奏法に置き換えてみたり、ここはこう試してみようか、など色々話し合いながらのレッスンで、本当に楽しかった。しかも楽しいと同時に物凄く論理的で、それぞれの案の和声的な理由付けをきちんと説明してくれる。まさにExcitingという言葉がぴったりくるようなレッスンでした。Satz先生に見てもらって大分方向性が見えてきたエロイカが、更に一皮向けた気がしました。

レッスンが終わって、先生からお聞きした公式ウェブサイト等を後で見てみたら、なんとクールシュベール音楽祭はじめ、桐朋音大や世界各国のマスタークラスでも招聘されている、フライブルグ音楽院教授のGilead氏だったんですね・・・。
あやうく、そんな先生に向かって何も知らずに「すみませーんどいてくださーい」とか言っちゃうとこだったわけです私・・・・(汗)
それにしても偉ぶったところの全くない、本当にフレンドリーな楽しい先生で、また機会があったら是非レッスンを受けてみたいなと思う。


ところで、アカデミーに来てから2ヶ月の間に、エルトン先生、Stott先生、Satz先生、Gilead先生、と計4人のレッスンを受けることができて、来週はRoscoe氏という先生のレッスンを受ける予定なのだけど、規定の学費内でこんなに色々な先生のレッスンが受けられるなんて、日本では考えられないこと。まず来日教授の特別レッスンを受けるには、私のいた大学の場合は、学費の他に別途レッスン代が必要だったし、第一、月に何度も受けられる機会なんてない。そもそも、「自分以外のレッスンは受けちゃダメ」という先生も多いみたいで、なかなか自由に色々な先生のレッスンを受けてみるということは、日本の音大では難しいのが現状です。それが、エルトン先生は生徒を外に出すのを拒むどころか、「せっかくフランスの作曲家の曲やっているなら、フランスものが得意なピアニストのStott先生のレッスン受けてみたら?」とか、「Satz先生は素晴らしい先生だから是非受けてみなさい」などなど、どんどんすすめて下さるので、本当に有難いし感謝です。マスタークラスのように観客つきだったり、日本での来日教授のレッスンのように通訳付きだったりするのではなく、泣いても笑っても、言葉が通じようが通じなかろうが、部屋の中1対1の体当たり状態で、なんとかコミュニケートしながら音楽を共に作っていく、という作業を何人もの先生とできるというのは、これ以上ない位貴重な経験させて頂いてるな、と思います。

私の個人的な考えでは、高校くらいまでは、一人の先生にじっくりつくのもとても大事なことだと思うのだけど、20歳位を過ぎて、色々な先生の意見を自分の中で統合したり選択しながら自分の音楽を再構築していくことができる年齢を超えたら、それ以降は、できるだけ多くの先生の意見をもらうということは、とても刺激になるものだと思う。

例えば、今回のエロイカバリエーションも、1ヶ月の間に計3人の先生にレッスンしてもらったことになるので、時々同じパッセージについて、ある先生は「スタッカートで弾いたら?」という提案、もう一人は「ノンレガート」、もう一人は「いやいや絶対ここはレガートでしょ」などなど、アドバイスがぱっくりと3通りに分かれることもよくある。けれども、「どう弾け」という結果のみの部分を鵜呑みにするのではなく、その背後にある「なぜそういう風に弾いた方が効果的なのか」という部分を、それぞれの先生からできるだけ汲み取って理解しようとした時、結果的に、自分なりに一番納得できる結論が、おのずから出てくる気がする。

そしてそれは、単に(1+1+1)÷3で算出した解答ではない、全く新しいオリジナルな答えに、なるのではないかな、と思う。
by sayaka-blmusic | 2005-11-09 09:17 | ロイヤルアカデミー学校生活

SATZ先生の特別レッスン

先日の日記でも書かせていただいたSATZ先生の特別レッスンを受けてきました!
人間味&音楽性溢れるレッスンで本当に良かったです。

レッスンの曲はオーディションの時と同じベートーベンのエロイカバリエーション。
15のバリエーションとフーガから成るこの30分ほどの大曲は、それぞれのバリエーションのつながりや関係性を構築していくのが本当に難しい。それぞれのバリエーションのキャラクターを出すことばかりに気を取られてしまうと、バラバラ事件になってしまい、全体として脈絡のない音楽ができあがってしまう。

この曲は、英雄の交響曲でも有名なあのテーマが、まず単音で現れ、次にデュオ(二重奏)、トリオ(三重奏)、カルテット(四重奏)と徐々に声部が増えていき、段々とオーケストラの響きに近づいていく。SATZ先生いわく、同じ四声部でも、私のではいきなりオーケストラっぽくなってしまうとのこと。同じピアノでも、室内楽のアンサンブルのような響きで聴かせるのと、オーケストラのような厚い響きで聴かせるのとでは、まったく印象が違う。たしかに 、ここまでをアンサンブルのよう響きで聞かせたほうが、その次のバリエーションのオーケストラダイナミっぽいダイナミックさがより際立つ。

同じ一つ のバリエーションでもその前後のバリエーションのちょっとしたキャラクターの出し方の違いやテンポの違いで、全く印象が違ってくる。同じ20度の部屋でも、その前に10度の部屋にいたのと30度の部屋にいた時では、温度の感じ方ががらりと違ってしまうのと同じ原理 です。

SATZ先生との1時間半のレッスンは、レッスンというより、まるで映画やドラマの脚本を一緒に作っていくような感じで、本当に面白かったです。次回のSATZ先生のVISITINGの時まで、今回学んだことをできる限り他の曲でも応用していけたらと思います。
by sayaka-blmusic | 2005-11-05 22:51 | ロイヤルアカデミー学校生活

オーディション合格!

ロイヤルアカデミーでは、年に数回、Visiting ProfessorであるピアニストのAlexancer Satz氏が来て、マスタークラス&レッスンを行ってくれます。年度始めに年間通してSatz氏がレッスンを行う生徒を、Satz氏自身がオーディションで数人選び、選ばれた生徒は、普段自分がついてる先生(私の場合、エルトン先生)とは別に、Satz氏の特別レッスンを1年間受けることができます。

今日がそのオーディションだったのですが、暗譜したてほやほやのベートーベンのエロイカバリエーションをどうにかこうにか弾き(汗)、7人の枠に合格させて頂きました! 明日が早速第一回目のレッスン。とっても音楽的に素晴らしい先生らしいので、レッスンが本当に楽しみ。

与えて頂いた機会に精一杯感謝して、色々なこと全身で吸収してこれたらと思っています!このブログ内でもレッスンの様子など報告させて頂きます!
by sayaka-blmusic | 2005-11-01 10:36 | ロイヤルアカデミー学校生活

音楽家のためのメンタルトレーニング

音楽家のためのメンタルトレーニング_e0030586_4193483.jpg

「音楽家のためのメンタルトレーニング(Mental Training for Musicians)」という授業を受けてきました。ロイヤルアカデミーの中でも初めて開講される授業だそうで、希望者のみが登録して受けられる特別ワークショップ。

私はICUでは臨床心理学を専攻していて、卒業論文テーマは「音楽家にとってのメンタルプロブレム」だったのですが、結局「問題」を研究しただけで、「だったらどうすれば良いのか」という解決方法やトレーニング方法までは見つけ出すことができなかったので、この授業はまさに私が知りたかったテーマそのもの!! というかこれぞ私が、音楽と心理学の学びを結びつけて、将来いつの日か日本でやりたい!と夢見てることでもあります。

Owen Murray氏というロイヤルアカデミーのアコーディオンの教授と、心理学者でありPTSD研究の専門家である奥さんInger Murray氏による共同ワークショップ。

感想は・・・。
面白すぎて鳥肌が立ちました。

緊張のメカニズムや、プレッシャーの基本的なメカニズムを、心理学的&脳科学的に説明してくれて、今後のコンサート本番などにも即役に立ちそうなTipsも満載。

ここでもたくさん紹介したい事項があるのですが、妹と運営中のサイト「Borderless Music」で近々発行予定のメールマガジンの方で、色々ご紹介しようと思っています。

授業はまだ第一回目なので、第二回目以降もとても楽しみ。

プロスポーツ選手のメンタルトレーニングは日本でも徐々に取り入られてきて、ベイスターズのように専属のサイコロジストと契約している球団もあるようです。ただ、音楽の面では、「音楽療法」のように、「音楽」で癒す、という方向の心理学的アプローチは広まっているものの、「音楽家」に対する心理学的アプローチはまだまだ少ない気がするので、このような授業はとっても貴重な経験だと思います。
by sayaka-blmusic | 2005-10-13 04:18 | ロイヤルアカデミー学校生活

エロイカ変奏曲

エルトン先生のレッスンでは、先週と今週引き続いてベートーベンのエロイカバリエーションを見てもらっています。
この曲を勉強するのは今回が初めてなのですが、本当に奥深くて面白いです! 
かの有名なベートーベンのシンフォニー「英雄」の第4楽章をテーマに、15のバリエーションに展開されています。最終バリエーションはフーガ形式で(原曲の方もフーガ形式ですね)、たたみかけるような転調の連続、スリリングな名曲です。

エルトン先生は、和声による音色の変化をとても敏感に指摘して下さる先生なので、ほんのちょっとした和声の色の変化を見落とさないレッスン。繊細な和音変化の綾も感じながら平行して大きなフレーズの流れを追うと、カラフルかつダイナミックなベートーベンの音楽が目の前に開けてきて、ドキドキするような体験です。

体中の細胞を全部ひらいて、吸収できることは全部吸収しようと思って、毎回のレッスンや授業に臨んでいるけれども、それでも零れ落ちていってしまう位、学ぶことが多いです。
by sayaka-blmusic | 2005-10-10 04:16 | ロイヤルアカデミー学校生活