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「ロンドン発日本食」の怪しい魅力

ロンドンでは日本食が大ブーム中。
特にロンドン中心部の金融街シティ近辺では、200メートル歩けば一つはジャパニーズレストランを見かけるといっても過言ではない位、あちこちに乱立しています。

しかしこれらの殆どは、日本人経営による所謂「純日本食」ではなく、イギリス人か、イギリス在住の中国人・その他のアジア人などの経営よるもので、日本人の店員も殆ど見かけません。

もちろん、ロンドン内にも日本人の経営する本格的な和食料理店やお寿司屋さんも、あることはあるのですが、巨大チェーン化している店の殆どは、日本人以外の経営によるものです。

まあ、日本でも、バーミヤンが中国人経営か、カプリチョーザがイタリア人経営かどうかなんて、誰も気にしていないし、要はお店の雰囲気や料理の味が、自分のフィーリングや舌に合うかどうかの方が、お客さん側からとってみれば重要なのかなぁとも思う。

ところで、これらの「ロンドンバージョン」日本食チェーンの数々、
何が凄いって、まず名前からして凄い。

まず、ロンドン中でイギリス人に大人気のレストランといえばここ。

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「WAGAMAMA (ワガママ)」 

1992年に中国人経営者によってロンドンに第1号店が立ち上げられて以来、あっという間についにヨーロッパ・アメリカ・中東・アフリカにまで支店を持つ世界チェーンとなってしまったそうです。ロンドン中心部だけでなんと20店舗以上。

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店員さんのTシャツにはカタカナで「ワガママ」のロゴ入り。
これ普通に日本で着てたら結構可愛いかも・・。

メニューには、「ヤキトリ」「ラーメン」「ヤキソバ」など、いかにも日本食的なメニューが並んでいますが、そのレストラン名の通り、調理方法もかなーり「ワガママ」。

イギリス人の友達と、ここに初めて来た時、「Chicken Katsu Curry(チキンカツカレー)がすっごく美味しい!」と薦められたので、試しに頼んでみたところ、

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カツの

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上に!

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ごはんとカレーが乗っていました・・。
逆転の発想・・・??



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ちなみに付け合わせの福神漬けは、あらかじめサラダの中にミックスされていて、「福神漬けサラダ」と化しています。うーむこれも本国日本では見たことないぞ。

ちなみに味は食べ慣れた所謂「日本食」とは違う味ではあるけれど、独特のアジアンミックス風な味にアレンジされていて、これはこれでアリだな、と思う。特に福神漬けサラダの方は、ハーブと福神漬けとガーリックゴマドレッシングが妙にマッチしていて、意外においしかったです。

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店内を見渡すと、シティ近辺なこともあって、殆どがイギリス人のビジネスマンやOLさん。

5本指全部を駆使して箸を操る男性や
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「EDAMAME(えだまめ)」を、ぷちっと中身だけ出さずに丸ごと口に放り込んで皮だけ後から出しているダイナミックな女性、何故か餃子にライムをしぼってかけている女性など、色々面白い光景を見ることができます。

でも私だって、正しいインドカレーの食べ方や、中華料理の食べ方なんて知らないし、笑えないよなー、うん。



続いてこちらはお寿司&お弁当屋さん。やっぱり名前がすごいインパクト。

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「WASABI(ワサビ) Sushi & Bento」
ワサビ大嫌いな私にとっては、看板見るだけで震え上がる名前だけど、このチェーン店もロンドンで大人気。ロンドンの目抜き通りOxford Streetや、ロンドン交通の要所であるビクトリアステーション内などにも支店があります。

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1つずつビニールで包装された握り寿司を、自分だけ好きなだけパックに詰めて買えるようになっています。

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「Rice Ball (おにぎり)」も売っているのですが、「Sesami oil & Seaweed (ごま油と海草のおにぎり)」などの日本ではかなり珍しい具もあります。



続いてこちらもお弁当屋さん。

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「Yen (えん)」 ・・・・って「円」?? 金融街だからこそのネーミングなのかもしれないけど、これって、アメリカ料理「ドル」、イギリス料理「ポンド」みたいなネーミングだよなぁ・・。分かりやすいといえば分かりやすいけど・・。

ちなみにここで売っているお弁当の一つ。

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Rib eye beef & Grilled veg salad (リブアイビーフとグリル野菜のサラダ)。
日本食の名残を残しているのは、左隅に追いやられているマグロとサーモンの握り寿司2貫だけのような気もしないでもないけど、イギリス人たちは「今日のランチは日本食――♪」とこれらのお弁当を買っていきます。ちなみにここの「サーモンとアボガドとマヨネーズのおにぎり」はすっかり私のお気に入り。



そしてネーミングの極めつけといえば

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「Yo! Sushi (ヨゥ!スシ )」!!!

日本人としては100メートルくらい後ずさりをしてしまうような名前ですが、ここもロンドン中で大人気の回転寿司屋です。 経営者はイギリス人で、ロンドン内に30店舗以上展開している他、中東、マレーシアなどにも支店を持つ世界チェーン。回転寿司屋といっても、お寿司として回ってくるのは、マグロ、サーモン、えび、各種巻き物くらいで、あとは、アジアン風ヌードルや、中華風の小皿料理、何故かいちご大福、その他首をかしげたくなる正体不明のものまで、何でも回ってきます。

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システムは、日本の回転寿司屋とほぼ同じ。何色のお皿がいくら・・という風に決まっていて、お会計の時にお皿の色を見て計算してもらう方式です。一番安いお皿が1.7ポンドってことは日本円にして約400円。 日本だったら中トロが食べれる値段ですが、こちらではこの値段でかっぱ巻き・・。 


ちなみにロンドンのスーパーでは、かなりの確率でお寿司のパックが売られているのですが、これが見た目はともかく、実際に食べてみると、日本では決して体験できない不思議な触感と味です。

下の写真は、ロンドンの最大手スーパーTESCOで売っているお寿司パック。

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まずご飯が、ぱっきぱきに乾燥して硬くなっていて、箸で掴もうとすると、「ぱきっ」とキレイに半分に割れます。ぱっくりと箸で「割れる」ごはん、生まれて初めて食べました。 当然、舌触りもツブツブジャリジャリしていて独特・・・。 これは明らかに、お寿司の形をした何か別のものです。


しかし困ったことに、日本食=ヘルシー という揺るがないイメージがイギリス人の中ではあるらしく、ご飯がパキパキだろうと、まぐろがどす黒かろうと、スーパーのお寿司パックは夜までには大抵ちゃんと売り切れているし、上に挙げたレストランの数々も、イギリス人にとっては「ヘルシー志向でちょっとお洒落でお昼には最適!」と、ランチタイムには必ず行列ができているほどの人気。


ロンドン発の不思議な日本食たちが、これだけ現地のイギリス人たちの中で大ヒットしているのは、日本人の私達には分からない、もしくは分かっても認めたくない、なんらかの不思議な魅力があるのかもしれません。


考えてみたら、現代の日本文化や食事も、西洋の色々なものを取り入れて、日本風にアレンジしたものの融合だしなぁ・・。そもそもチキンカツカレーだって、インド料理+西洋料理を日本人が勝手にアレンジして現代日本食メニューになったものだろうし。 そう考えると、ここロンドンで、ごはんとチキンカツが反対に配置されていようと、全く不思議じゃないのかもしれない。

現在シェアをしているフラットのキッチンで、一人で和風パスタを作っている時に、鰹だしだの醤油だのを入れてたら、イタリア人のフラットメイトがすごく不思議そうな顔をして色々質問してきたけど、彼女にとったら、パスタに醤油の組み合わせっていうのは、やっぱりすごい衝撃だったんだと思う。


食べ物でも音楽でもそうだけど、
正統派として伝わっていくこと、伝えていくことの大切さと、
時代や場所に合わせてオリジナリティを満載に発展していくことの大切さ。
きっとどちらが良いとか悪いとか、正しいとか間違っているとかじゃないんだよな・・と思います。

そもそも今では「正統」だと思われているもの自体が、作られた当時は斬新で周りからは認められていなかったりすることもあるし。


あのパキパキお寿司に関してだけは、どうしても「あり」だとは思えないけど(笑)、
ロンドンの現地人経営による不思議な日本食の数々はある意味、日本人以外の発想だからこそ無限の可能性を秘めている「新しい」日本食の形かもしれません。
by sayaka-blmusic | 2008-02-02 06:05 | ロンドンの不思議
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