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2006年プロムス(PROMS)

イギリスの夏のクラシックイベントといえば

プロムス(PROMS)!

7月半ばから2ヶ月にわたってロイヤルアルバートホールにて行われるヨーロッパ最大規模の音楽祭で、BBCが主催しています。
日替わりで毎日、ロンドンフィルやベルリンフィルなどによる一流オケなどによるクラシックコンサートがなんとたったの5ポンド(1000円)から聴けてしまうという、すんばらしい音楽祭。

そしてプロムスといえば、
恐らく日本では絶対に経験できない

円形劇場型大ホール最上階回廊での「ごろ寝」鑑賞!!


そう、このプロムスの大きな特徴は、格安当日券の仕組みにあります。

最上階回廊部分(立ち見、ごろ寝、床座りなんでもありのオープンスペース)と、
椅子を全部取り払われた一階席(通常S席などにあたる部分)のアリーナが
立見席として当日会場で5ポンドでチケットが販売されるので、
本当に気軽に、ふらっと立ち寄って一流オーケストラによる演奏を格安で楽しむことができるのです。

もちろん通常の席も前売りで購入することができます。
これらの通常席も、普通の日本のクラシックコンサートと比べるとかなり格安。


昨年は何度も足を運んだものの、
今年はレッスンなどでなかなか夕方の予定が空かずまだ一度も行っていなかったのですが、この日(8月23日)のプログラムの一つは、私がクラシック曲の中で一番好きな曲ベスト3に入るラフマニノフの合唱つき交響曲The Bells(日本名「鐘」)!!

この曲、あまり有名ではないのですが、
8年くらい前に、たまたま他の曲を聴こうと思って買ったモスクワフィルのCDに入っていて、
そのド迫力に一発で衝撃を受けてしまい、それ以来大好きな曲だったのです。

しかしこの合唱交響曲「鐘」は、フルオーケストラに加えて、ソプラノ、テノール、バリトンのソリスト歌手+大人数の合唱団を要する曲ということもあってか、日本では滅多にコンサート等で演奏されることがなく、今まで一度も生で聴いたことはありませんでした。

それが今回のプロムスでは、ロンドンフィルハーモニー交響楽団&ロンドンフィルハーモニー合唱団によって演奏されるとのこと。

これは私にとっては這いつくばってでも行きたいプログラム!


ということで行って来ました。
普通に席を予約してもよかったのですが、
やはりプロムスといえば、あの最上階回廊からステージを眺める独特の醍醐味が忘れられず、昨年と同じく、ギャラリー席5ポンド当日券の列へ。

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写真は、演奏開始前のステージを最上階回廊から写したところ。
後ろの椅子は全て合唱団の方々の席です。


演奏会後半に入り、いよいよ待望の「The Bells」。
この合唱交響曲は4楽章に分かれていて、それぞれ

1.誕生の鐘
2.結婚の鐘
3.怒りの鐘
4.死の鐘

というように題名がついています。

もともとラフマニノフの作品は、ピアノ曲でもロシアの「鐘」をモチーフにしたものが多く、
ラフマニノフの作品において「鐘」の要素は外せない重要なものだと言われているのですが、
この曲はまさに、そのものズバリの「鐘」という題名がついている上に、
ラフマニノフ独特の、全てを叩きこわすかのようなダイナミックさも、壮大さも、ロマンチックさも、毒っ気も、全て盛り込まれている作品。
もともとラフマニノフ中毒の私にとっては、もうたまらない曲なのです。

実際、200人以上の合唱団を率いた生の演奏で聴いてみると、
CDとはまた全く別の印象。

もともと好きだった「1.誕生の鐘(ディズニー映画でそのまま使われそうな曲です)」に加えて、
他の3曲も生の迫力に大感動してしまいました。
特に、「3.怒りの鐘」は、生の合唱団とオーケストラと指揮者の掛け合いによる緊張感の高まりに、息をするのも忘れて聞き入ってしまいました。
「4.死の鐘」の最後の、まるで天国に上ったかのように平和な眠りにつくラストも鳥肌もの・・。

ラフマニノフ、やっぱり天才です・・・・・・・・・・・・・・・・・(ToT)


ところで、これは休憩中の最上階回廊の様子。
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ギャラリー席では、こんな風にシートを広げながらピクニック感覚でペタンと床に座って皆リラックスして音楽を聴けるんです。

本を読みながら聴いている人、
ごろ寝しながら聴いている人 (大の字になって聴いている人すらいます。一流オケをバックに大の字で聴くなんて贅沢すぎる瞬間・・)、
壁にもたれて目をつぶりながら聴き入っている人、

本当にそれぞれ皆自分の好きなスタイルでリラックスして聴いているんです。
なんだか音楽本来の楽しみ方がそこにはあるようで、
色々な聴き方をしてる方たちの姿を見るだけで幸せで心がいっぱいになってしまいます。

眠くなって頭がカクっとしてしまうのを後ろの人から見られたら恥ずかしいとか、
狭い椅子で必死に目を開けて眠気に耐え、演奏が終わるのをひたすら待つ必要もなし。
クラシックの堅苦しいというイメージが吹き飛んでしまうくらいの、本当に自由な空間。

私は、この日ワンピースだったので、さすがにごろ寝するわけには行かず、また大好きな曲だったこともあり、回廊最前列で柵にしがみついてかじりつくように聴いてたのですが、また違うプログラムの時は、ジーパンで行って「ごろ寝鑑賞」を至福をもう一度体験したいなと思っています。


ちなみに私は、クラシックの演奏会を聞く時には、
こむずかしいことは考えずに、頭を大解放してぼーーーっとして聴くのが好き。
眠くなったら寝ちゃえくらいの勢いでリラックスして聴いた方が、素直に音楽を楽しめる気がします。

そういった意味でもこのプロムスのギャラリー席は、
気軽に本格クラシックを聞いてみたい方や、
仕事帰りに、クラシックのアルファ波(?)を浴びながら全身リラックスしたい方たちにも
本当にオススメです。

去年のレポートにもさんざん書きましたが、
プロムスのように「ごろ寝鑑賞」ができる格安クラシックコンサート、
日本でもあったらいいのに・・・と心から思います。



☆思い立ったら今日にでも行ける、プロムス当日立見券の買い方☆

South Kensingtonの駅を降りたら、表示にしたがってRoyal Albert Hallの方向へ。
地下道から抜けて更に10分くらい歩いたところに円形型のホールがあります。
「PROMS」という旗が大きく掲げられているのですぐに分かると思います。

正面玄関ではなく、ホール裏側に回ります。
列が2つあると思います。

一つはアリーナ(一階席部分。近くで聴ける醍醐味はありますが2時間立ちっぱなしを覚悟)、
一つはギャラリー(私がいつも聴いている、最上階回廊部分。床にペタンと座るか床に寝転ぶかのスタイルでリラックスして聴ける)の為の列。

恐らくホール側から見て右側がギャラリーの列、左側がアリーナの列だと思うのですが、
一応列に並んでいる人に確認して聞いたほうがいいと思います。

人気プログラムでなければ開演30分前でも十分入れると思いますが、
人気プログラムの時は2~3時間前から並んでいる人もいるので、
早めに並んだ方がいいかもしれません。

そのまま列に並んで待ち、
会場入り口のところで、チケット代(アリーナ、ギャラリーとも今年は5ポンド)を払い、
荷物チェックを受け、会場内に入り自分の好きな場所を確保します。

ちなみに洋服ですが、ドレスコードのようなものは一切なく、
当日券の席には、フォーマルな服装で来ている人はむしろ殆どいません。
地面に座ったりすることも考慮して、ジーパンやチノパンなどのラフな格好の人が多いです。

BBCプロムスの公式サイト
http://www.bbc.co.uk/proms/
ロイヤルアルバートホールまでの地図
http://www.royalalberthall.com/pdf/Arriving_at_theHall.pdf


※昨年のプロムスレポート(最終日レポート含む)は、妹と企画運営しているクラシック音楽総合情報サイトボーダレスミュージックの方でも書いています。
http://www.borderlessmusic.com
by sayaka-blmusic | 2006-08-26 19:56 | ロンドン音楽事情
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