アシュケナージのリハーサル

昨日学校に行ったら、教室の前に一枚の張り紙が。

「明日、9:15PMからウラディーミル・アシュケナージが
当校のDuke's Hall(ロイヤルアカデミーの学校内にあるホール)にて
モーツァルトK414のコンチェルトのリハーサルをします。
興味のあるピアノ科の学生は見学ができるので下にsign upして下さい。」


ウラディーミルアシュケナージって、あのピアニストとしても指揮者としても世界的に超超有名な、あのアシュケナージ氏!!

ちなみに、クラシックに全然馴染みのない方のために例えて言うと、
学校の体育館でスティービーワンダーがリハーサルしに来るようなもんです。

タダで間近でリハーサルが見れるなんて、こんな機会絶対ない!なんとしてでも行くっ!と思い即サインアップ。ロイヤルアカデミーに入ってよかったーと今までで一番感じた瞬間かも(T T)


で、今日、行ってきました!!!

時間が遅いせいか、聴きにきている生徒もそんなに多くなかったので、せっかくだからと最前列の真ん中の席に座っちゃいました。約3メートル先にアシュケナージの背中。ここからだと、リハーサルの時のオケへの指示やコミュニケーションもしっかり聞こえるし^^

CDジャケットではダンディなナイスミドル的イメージが強かったのだけど、
実際のアシュケナージはオール白髪のおじいちゃん(後で調べたらもうすぐ70歳になられるそう)。でも、トレードマークの白いハイネックは健在で、やっぱりダンディだった(^^)


アシュケナージは、指揮者兼ピアニストなので、ピアノコンチェルトの際には
指揮者無しで、自分でオーケストラを指揮しながらピアノパートを弾くことで、良く知られています。どうやって指揮をするのかというと、
アシュケナージのリハーサル_e0030586_10462175.jpg

このように、ピアノを舞台に対して垂直に置き、観客に完全に背を向けてオーケストラの方を向くような形で演奏&指揮をします。ちなみに上の写真は実際のリハーサル開始前に携帯で撮影した写真。私含め生徒達みんなミーハー根性丸出しで、携帯で写真とりまくってました(笑)



いよいよリハーサル開始。
オーケストラは、ヨーロッパの選抜ユースオーケストラ。ロイヤルアカデミーの生徒も何人か参加しているようです。曲はモーツァルトのピアノコンチェルトK414。そういえば仙台国際音楽コンクールの第一次予選で弾いた思い出の曲です^^

アシュケナージの演奏は、CDは何枚も持っているけど、生で聴くのは初めて。
しかも表情も息遣いも分かるこんなに近くから聴けるなんて・・。

彼の演奏って、なんていうか、音が笑ってる。笑音っていうのかな。
ピアニスティックに完成されているというより、
もっと「人間ぽい」感じで、
喜怒哀楽の感情がそのまま音で伝わってきて、
音そのものが、泣いたり笑ったり怯えたり飛び跳ねたりしている。
生きている音。
生きている音楽。

彼の指揮も、手のみならず体も顔の表情も全て使っていて、
音楽が楽しくってしょうがない、っていうのが溢れるくらいに伝わってくる。
オーケストラのメンバーからも、ふとした瞬間に思わずつられて笑みがこぼれるくらい。


人間的にもすごくあったかくてユーモアたっぷりな人で、
オーケストラに指示する時も、決して高圧的に指示するのではなく、
「僕はここは2音目はpだと思うんだけど、どうだろう。やってみようか。」とか
「ここのピアノパートのパッセージはすごく音が離れてて弾きにくいから、
少し間を置いてもらわないと僕弾けないんだよね・・^^;」
とか、ものすごーく謙虚で優しい。
オーケストラと指揮・ピアニストの壁がすぐになくなり、
全員でひとつの音楽を作り上げていく雰囲気が、自然とできあがっていく。


彼が、ピアノコンチェルトで指揮とピアノを同時にできる理由が分かった気がした。

彼にとっては、ピアノとか指揮とか分けてる意識はなくて、
全ては、「音楽」を奏でている、という意識の中に入っちゃってるんだろうな。
だから、聴いている方も、彼が、ピアノパッセージを終えた瞬間に突然指揮を振り出したり、
またピアノに戻ったりしても、不思議と何の違和感も感じない。

終わった後も、超フレンドリーに、生徒達と普通に雑談したり写真とったりしていたので、
私も思い切って感想を伝えにいったら、
にこーっと笑いながら「ありがとう」と言ってあの少しごつごつした手でぎゅっと握手をしてくれた。


そういえば、
中学校の頃、ピアノを弾くことがなんとなく嫌になってしまった時期があって、
クラシックのCDを聴くことすら嫌だったんだけど、
その頃ですら、唯一好きで、ずっと繰り返し聞いてたのが、
アシュケナージの演奏しているラフマニノフのピアノコンチェルト3番のCDだったな、と、ふと思い出した。


もしかしたら、
私はあなたの「笑音」に助けられて、今ここにいるのかもしれないな、と思いながら、
色々なThank youの気持ちを込めて、彼の手を握り返した。
by sayaka-blmusic | 2005-11-24 10:51 | ロイヤルアカデミー学校生活
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