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イギリスでの乳幼児予防接種

昨日、イギリスNHSのGP(家庭医)で、初めての予防接種に行ってきました。日本では乳幼児の予防接種は3ヶ月前後から始まりますが、イギリスではそれより1ヶ月早い、生後2ヶ月からスタートします。


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颯太をベビーカーに乗せ、徒歩10分位の場所にある、私達の登録している近所のGP(かかりつけ医)の病院へ。イギリスのGPは、場所にもよりますが、こんな風に一見普通の家みたいなところが多いです。

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月曜日は赤ちゃんメインの診察の日らしく、この日も待合室は親子連ればかり。

しばらく待っていると診察室から

「サウター!サウター!」と呼ぶナースの声が。

何回も呼ばれるまで全く気がつかなかったのですが、うちの「颯太」を呼んでいました(笑)イギリス英語だと人によってはOがアウに聞こえたりするので、「サウタ」と聞こえてしまうことがあるのです。

さて颯太を抱っこしてナースのいる診察室へ。
これから注射タイムが待っているとも知らず、爆睡の颯太。

この2、3日、何故か眠り王子な颯太。
例のバウンサーの上で眠りこけていた颯太を、無理矢理ベビーカーに乗せてきたのですが、来るまでの道も、病院に着いてからも、診察室に入ってからも、注射を腿に打つ為に服を脱がせても、ずーーっと爆睡(笑)

「くかーーー」と気持ちよさそうに寝ている颯太の右足のももに、


太ーい長ーい注射針の1本目がにじりより・・・

ぶすーーーーっ!

「ひーーーーーんっ!!」



左足の腿に2本目がにじりより・・

ぶすーーーーーっ!!

「ひーーーーーーーんっ!!!」



そして終わった直後に、なんとまた

「くーーー Zzzzzzzz (←眠りの底へ・・)」 

どうやら注射の痛さをも凌ぐ眠気だったみたいです(^ー^;)

というか注射=痛いもの、という図式がまだ出来上がっていない今が花ですね(笑)分かるようになっちゃったら、病院に近づいただけで大泣きになる気がするし。


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夜に熱が出るかもしれないから、と乳幼児用解熱剤パラセタモールの「Calpol」を処方されました。この国は何でもかんでもパラセタモール。痛み止めも熱冷ましも、大人も子供も、妊婦も授乳期のお母さんも赤ちゃんも、パラセタモールだったら万事解決OK!というパラセタモール神話、みたいなものがあります。そういえば出産の時でさえも、陣痛初期はパラセタモールをすすめられました・・(笑)(結局、この晩、熱は7度4分位までしか上がらずに済んだので、薬は使わずに済みました)


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さて、予防接種の記録は、イギリスの母子手帳、通称「Red Book」にナースが書き込んでくれます。

今日うってもらったワクチンは、

DTaP(ジフテリア、破傷風、百日咳)/ IPV(不活化ポリオ)
Hib(髄膜炎−インフルエンザタイプB)/PCV(肺炎球菌)

の4種類(予防する病気の種類としては6種)。Hibワクチンと、肺炎球菌ワクチンは、まさに日本でここ2、3日のニュースで騒動になっています。


予防接種が終わった後、注射を打ってくれたナースに、

「丁度昨日、日本でかくかくしかじかの出来事があって、ヒブワクチンが一時的に使用中止になってしまっているんです。」

と話をすると、ナースが、

「イギリスでは長年(1992年〜)ヒブワクチンの予防接種が行われているけど、私の知っている限り、ヒブワクチンで事故という話は聞いたことがないわね・・。でも日本の人達、受けたい人達まで受けられなくなってしまうのは不便ね・・。

そういえば、イギリスでも以前似たような騒ぎがあったわ・・。、MMRワクチン(はしか等を防ぐ予防接種)について、ある研究者が自閉症との関連について間違った論文を発表したのがきっかけで、メディア等が過度に報道したため一般の人達の反響が大きく、MMRの予防接種を受ける人が激減。その為、その後イギリスでは、はしかが大流行してしまい大変なことになったの。騒ぎが治まるまで2年以上かかってしまったし、今でもその頃のメディア報道の影響で、MMRはとても危険だと思い込みすぎている人も沢山いるのよ 」

と仰っていました。

MMRについては、気になったので帰ってから調べてみたところ、日本では副作用の多発により1993年に中止されていますが、イギリスではウイルスの株を変えることにより改良に成功し、現在のMMR予防接種が行われているそうです。(参考HP http://baby.goo.ne.jp/member/topics_back/topics10/sho28/2.html


今回日本でヒブワクチンが中止されてしまうかもしれないという件については、私達在英日本人も、何らかの事情で一時帰国中や本帰国後に、続きを日本で接種する可能性もあるので、全く人ごとではない話です。

今回報道されている件では、亡くなられたお子さんのご両親のお気持ちを考えると、いたたまれない位悲しいことですが、でもそれに対してマスコミが、未だワクチンとの因果関係が不明なのにも関わらず「ヒブワクチンのせいで」と、あたかも全てのヒブワクチンが危険かのごとく、報道だけ過度に加熱して危険性のみがピックアップされ、本当に必要で安全かもしれないワクチン接種まで中止されてしまうのはそれはそれで危険なことだと思います。

今日ナースが仰っていたイギリスの例のように、ワクチンを中止したらそれはそれで別のリスクが発生してしまう可能性だってあるし・・。どんな予防接種にも多少のリスクがあることはもちろん知っているけれども、少なくとも私個人にとっては、 友達が2年前に細菌性髄膜炎で亡くなっていることもあり、ヒブワクチンを打たないことによる髄膜炎のリスクの方が怖いです。

日本ではまだ自治体によっては有料の任意接種のヒブワクチン。
しかも今回の件で中止の可能性すらありますが、

少なくともイギリスでは、基本的に新生児皆が、このように普通に淡々と、当然受けるべき定期接種として無料でヒブワクチンの予防接種を受けています。(しかも基本的に肺炎球菌との同時接種です)

この件に限らず、ワクチンについての論争は根が深くて、何が本当に正しいか、ということは専門家でない私にはもちろん分かりませんが、今回の日本での事件も、今後の専門家の方達の検証や会議などがスムーズに進み、厚生省から適切な対応が早急に決定することを祈るばかりです。


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ここから先は、自分の記録と今後受ける方への参考にも兼ねて、細々したことを書きますので、関係ないよーという方は読み飛ばして頂いて大丈夫です。


乳幼児予防接種、日本とイギリスの主な違い

ー イギリスは予防接種開始時期が早い
日本は3ヶ月前後から。イギリスは2ヶ月前後から

ー 基本的に集団接種ではなく、個別接種
日本ではポリオなどは集団接種だそうですが、イギリスでは乳幼児の予防接種は基本的にGP(かかりつけ医)での個別接種です。

ー イギリスはポリオワクチンは不活化ワクチン、日本は生ワクチン
ワクチンによるポリオ発症の危険性がある生ワクチンを、今でも使っているのは先進国の中では日本だけだそうです!日本で不活化ワクチンをうつにはまだ有料の任意接種となります。ワクチンに関しては全面的に日本は他の先進国よりもかなり遅れていると言われています。(認可が降りるまでのプロセスがあまりにも遅すぎるそうです)

ー イギリスでは、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン基本的に全員接種。
日本ではこれらは自治体によっては有料の任意接種ですが、イギリスでは定期接種に含まれています。

ー 全て無料
日本では自治体によって有料のワクチンもありますが、イギリスのNHSでは基本的に全て無料で接種できます。


イギリスの1歳過ぎまでの予防接種スケジュールは以下の通り。
地域によって多少異なるかもしれません。以下は、2011年3月時点での、ロンドン・NHSの例。

月齢
2ヶ月   DTaP、IPV、Hib、PCV
3ヶ月   DTaP、IPV、Hib、MenC
4ヶ月   DTaP、IPV、Hib、PCV
12ヶ月  HibとMenC
13ヶ月  MMRとPCV

DTaP(ジフテリア、破傷風、百日咳)/ IPV(不活化ポリオ)
Hib(髄膜炎−インフルエンザタイプB)/PCV(肺炎球菌)
MenC(C型髄膜炎菌)MMR(はしか、風疹、おたふく風邪)
※MMRのワクチン株はJeryl Lynn株であり、日本で昔問題が起きた株とは別のもの

出産後、ミッドワイフの訪問期間後終了後に家に来てくれるヘルスビジターさん(保険師さん)が、予約の方法や時期を詳しく教えてくれます。私の場合、出産後子供のGP登録の際に6週検診予約、6週検診の際に2ヶ月予防接種予約、2ヶ月接種の際に3ヶ月予防接種を予約、という流れでした。

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ワクチンについての説明や受ける時期などは、出産後に病院からもらうパンフレットにも詳しく書いてあります。


出産に関しては、「えぇぇぇえええ??!!」と突っ込みどころ満載のイギリス医療でしたが、今のところ予防接種制度に関しては、かなりしっかりしている印象を受けています。(イギリスはワクチンに関しては、世界最先進国なのだそうです。)
by sayaka-blmusic | 2011-03-09 00:29 | イギリス妊娠出産育児
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