ローマ日記「コンサート本番編」「ローマ観光編」のつづきです。
ローマ滞在最終日は、ローマの中に位置する世界最小の主権国家「バチカン市国」へ。 ![]() 正直、バチカン市国については、「カトリックの総本山」ということと、「世界最小の国」という漠然とした知識しかなく、私の頭の中では、高ーーい壁に囲まれた小さな国に入るのに厳しいセキュリティチェックを受け、ものものしい警備の中、神聖な場所に入る・・というようなイメージがあったのですが、 実際はそんなことなく、空港にあるような簡単な荷物検査はあったものの、特に身分証明書を提示するようなこともなく、あっさりと入国。(というか正直、どの時点からバチカン市国なのか分からなかった・・。セキュリティゲートに入ったところかしら?)普通に博物館や美術館に入るのと似たような感じでした。ただし、短パンやノースリーブなど露出の高い服での入場は禁止されています。 ![]() とはいえ、バチカン内に入るまでにこの行列!全て観光客(&巡礼者?)です。30分位並んだのですが、この日はまだいい方で、土日などは混んでいると3時間位並ぶこともあるのだそうです! そしてメインの大聖堂であるサンピエトロ寺院へ。 ![]() 内部もものすごい人ごみの中、まず右手前にある一番有名な「ピエタ像」へ。 ![]() 写真だとぶれてしまっていますが、これは本当に本当に素晴らしかったです。観光客に押しつぶされ、記者会見中の映画スター並にフラッシュを炊かれまくっているのに(写真は禁止されていません)、それでもそのオーラをびくとも崩さず、静かな輝きを放ち続けているピエタ像。ミケランジェロの最高傑作の一つと言われています。マリアの像が余りにも若く見えたので(10代位の少女に見える)、聖母マリアじゃなくて一瞬マグダラのマリア?と思い後で調べてみたところ、やはりこの議論は実際あるらしいですが、実のところはマグダラのマリアでなく聖母マリアだそうです。ミケランジェロはあえて若く神々しい聖母マリアの姿に仕上げたらしく、なぜミケランジェロがこのような若いマリアの姿を表したのかについては、今でも議論が続いており様々な解釈がなされているそうです。 ちなみにミケランジェロがこの作品を完成させたのは弱冠23歳!やはり天才です・・。 ![]() サンピエトロ寺院の内部。写真の下部のわずかにうつる人間の背の高さと比較して頂くと分かるかと思いますが、すさまじい天井の高さです。一番高いドームの部分(写真奥側)の高さは180メートルにもなるのだそうです。 更に奥に入るとペテロ像が。 ![]() そもそもこのバチカンの地は、使徒ペテロのお墓があった場所とのことで、最近の発掘調査では、実際に聖ペテロの墓と骨が発見されたそうです。このペテロ像、右足を触ると幸福が訪れるという伝説があるらしく、あまりにも観光客や巡礼者が右足ばかりを触ったせいで右足の先が摩擦で削れてしまっていて、今では触るのが禁止され、それを見張って注意する担当の警備員までいました。それでもそれを無視して右足を触ろうとする人多数・・。 ![]() この日、ちょうどここで結婚式も行われていました。ウェディングドレスでなく白いスーツ姿の花嫁と、花嫁の父、そしてブライズメイド。 バチカン市国のサンピエトロ寺院の中で結婚式だなんて、よっぽどカトリックの重要職の娘さんか何かなのでしょう。まるでモデルさんみたいでキレイでした〜!しかし残念ながら、あまりにも観光客が多すぎて&うるさすぎて、厳かとはほど遠い雰囲気。 そのまま人に押しつぶされそうになりつつふんらふんらになりながら、人ごみの波に押し出されて、いつのまにか外へ。 ふーーー、バチカンは世界最小の国であると同時に、昼間の瞬間人口密度がダントツ世界最高であることは間違いないでしょう。もうちょっとじっくり見たかったけど、何しろ人が多過ぎた・・。(私自身もその人ごみの原因の一人なわけですが・・) そしてサンピエトロ大聖堂の外に出ると、バチカンを象徴する存在のひとつでもあるスイス衛兵が、子供達と写真を取っていました。 ![]() 「わたしもわたしも〜♪」と思って、横に並んだら、 「Only Children!」と怒鳴られながら、スイス衛兵の一人に背中をどーーーーんっと突き飛ばされてしまいました。がーん、子供以外とは写真撮影禁止らしい。 後で直穂子さんから聞いたところによると、バチカン市国のスイス衛兵は、スイスから、見目麗しい美少年が選び抜かれて派遣されるらしく、本人たちもそのことを非常に誇りに思い、プライドが高いんだそうです。それにしても何もつきとばさなくても・・(泣) ということで、感動も沢山あったものの妙—に体力を消耗してしまったバチカン観光でしたが、帰ってきてから色々調べていたら、興味深いことが沢山。 スイス衛兵については、その歴史は500年前までさかのぼり、16世紀頃からスイス衛兵がバチカン市国の警備にあたっているらしいです。スイスは農作物が取れない土地だったため、古くから衛兵の輸出(?!)が盛んで、その後スイスの憲法で衛兵の輸出は禁止されたものの、バチカンだけは例外として認められているのだそうです。 あと、バチカンの使用言語についても非常に興味深くて、公用語はラテン語で、通常の業務はイタリア語、外交用語としてはフランス語が用いられ、スイス人衛兵達の共通語はドイツ語、というなんとも複雑なことになっているらしいです。 ———————— ところで、イタリアの中にある小国、といえば、イタリアの海岸沿いのリミニ近くの山のてっぺんにあるサンマリノ共和国に、サンマリノ国際ピアノコンクールに参加するために2週間ほど滞在していたことがあるのですが、この国も非常———に面白い国でした。(その時の日記はこちら) 「サンマリノ共和国」は、4世紀にローマ帝国がまだキリスト教を迫害していたころ、聖マリノさんが当時の皇帝ディオクレティアヌからの迫害から逃れるために、山にこもって出来上がった世界最古の共和国。 その後、迫害から一転してローマがキリスト教権力の中心地となり、教皇領の繁栄と衰退を経て、イタリア建国後、教皇領の問題で教皇とイタリア政府が対立し、教皇はバチカンの丘に立てこもり、その和解の結果独立国家として1926年に生まれたのが「バチカン市国」。 同じイタリア内の小国家でも、その設立の理由が、一見似ているようで実際の意味では全く違う(むしろ正反対??)ところにあるというのは、とても面白いなと思いました。 最後の日記は「番外編・ローマでいちばんおいしいティラミス」です♪
by sayaka-blmusic
| 2010-07-03 08:07
| イギリス国外旅行日記
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