![]() 寒い!寒すぎです。先週積もった雪がようやく溶けかけてきたと思ったらまた雪…。 気温に関しては、18年振りの大雪が降った昨年を上回る寒さなので、今年のロンドンは更に厳しい冬になるんじゃないかとびくびくしています。 さて、そんな激寒の中、先週末土曜の夕方、家の前の通りを歩いていた時のこと。 我が家の3軒隣りの家の前で、二人のユダヤ人男性が、何やら困った様子で話し合いながら、こちらから歩いてくる私の様子をうかがっていました。 ちなみに、ユダヤ人は、独特の黒づくめの洋服に黒いハット、付け髭や付け髪をしているので、遠くからでもすぐに分かります。 私の住むロンドン北部のこの地域は、ロンドン内でも特にユダヤ人の多い地域。駅前通りの商店街は、半分以上がユダヤ系のお店。ユダヤ教で食べることが許されている食品のみを扱うレストランやスーパー(Kosher)、ユダヤの祭事道具を扱うお店、などが並んでいます。 私の家のあるこの通りも、多くがユダヤ人家庭。 週末になると特に見かける、黒づくめユダヤ人の行列には、最初はびっくりしましたが、最近ではむしろ、この辺りに住んでいるユダヤ人の皆さんは信仰深くて真面目、という安心感がすっかり私の頭の中で出来上がってしまってしまいました。事実、この辺りは私が今まで住んできたロンドンの色々な地域の中で、ダントツに治安が良いです。 -------- さて話は戻って、歩道の真ん中で困った様子のユダヤ人男性2人。 「何かお困りですか?」とこちらから聞こうとした瞬間、向こうの方から話しかけてきました。 ユダヤ人男性「あの…、とても申し訳ないのですが、家の防犯ベルの機械を止めてくれませんか? 誤作動してしまって。」 私(ん?防犯ベル? しかし彼らにも直せないものが私に直せるんだろうか? もしかして日本人だから機械に強いだろうとか思われてしまっている…?) 私「あの…、もちろん喜んでお力になりたいのですが、私あんまり機械に詳しい訳じゃないので、できるかどうか…」 ユダヤ人男性「いや、簡単だから絶対大丈夫。こちらが言う数字を4つ押してもらうだけです」 ????? それならなぜ道行く見知らぬ人に頼むのだろう?? とますます疑問に。 するとお兄さん達、私の疑問を察したかのように、 「今日は土曜日なので、私たちユダヤ人は、電気製品に一切触ることができないのです」 そうだ、今日は土曜日だった!!ユダヤ教の安息日だ! ユダヤ人の生活スタイルの徹底ぶりは、噂には聞いていたけど、本当だったのね!と驚き。 安息日を重んじるユダヤ教では、金曜日の日没から土曜日の日没にかけては、一切の仕事をしてはいけないのはもちろん、電気製品やガスも使ってはいけないのだそうです。しかしさすがに、一切電気やガスを使わないというのは現代生活では無理がある為、現代生活におけるルールでは「土曜日に電気がガスのスイッチを入切してはいけない」ということなっているそうです。そのため、ユダヤ人家庭では、土曜日にスイッチの入切をしなくてもいいように、金曜日の晩から電気はつけっぱなし、ガスコンロは最小の弱火で、1日中つけっぱなしにしておいて、必要な最小限の家事を行えるようにしておくのだそうです。 つまり土曜日に、誤作動してしまった防犯ベルを「切る」という行為は、彼らにとっては宗教上許されないことなので、ユダヤ教徒でない人が通りかかるのを、通りで待っていたようです。 事情が分かり、そういうことであればもちろん喜んで、というと、 「ああ!助かった!では宜しくお願いします。」と早速家の中に案内されました。 初めて踏み入れるユダヤ教徒のご家庭。 案内してくれた青年達の他、ご老人、大人数人、小さい子数人&赤ちゃんの大家族。ユダヤ人は、旧約聖書の「産めよ増やせよ」を忠実に守るため、大家族が多いというのは本当みたいです。 家の中は更にけたたましく、誤作動した防犯ベルが鳴り響いていました。 鳴り止まない大音響を怖がってしまって、赤ちゃんは大泣き。小さな子供達も「いつ鳴り止むの??」とぐずって、家の中はパニック状態。 更に家の奥に進み、防犯ベルの解除装置のある、倉庫の中に案内されました。倉庫部屋は真っ暗で、とても機械の画面を読める状態じゃなかったので、懐中電灯はありませんかと聞こうとした瞬間、そうだそれも付けられないんだったと気づき、自分自身の持ってた携帯電話の明かりを照らし、なんとか防犯ベルの解除操作を完了。 すると家中に鳴り響いていた防犯ベルの音も止み、 ユダヤ人大家族の皆さんも、一同安堵の表情。 赤ちゃんも泣き止みました。 「いやぁあああ本当に助かりました!!ありがとう!!!」と ご家族のみなさんに、大げさな位感謝されてしまいました。 うーむ私、数字ボタン4つ押しただけでこんなに感謝されてしまっていいんだろうか^^; ユダヤ人の信仰深さというかストイックさを垣間見た経験でした。 防犯ベルがいくらうるさかろうが、赤ちゃんが泣こうが何があろうが、電気・ガスのスイッチをいじっちゃいけないという教え一つにも、ここまで忠実に従うというのはある意味尊敬です…。厳格な教徒は、たとえ家でガス漏れに気づいても、それが土曜日であったら、自分では閉めちゃいけないのだとか。で、そういう場合はどうするかというと、やはり今回のように外に出て誰かユダヤ教徒以外の人に頼むのだそうです。 あれ、待てよ、その場合、彼らにとって「土曜日に電気やガスを止める」という「罪である行為」をした私たちって、たとえ彼らから頼んだこととはいえ、彼らからすると「悪いこと」をした人なんだろうか、「良いこと」をした人なんだろうか…????分からなくなってきました(笑) ちなみに、この辺りはユダヤ人の多い地域、と書きましたが、この地域は日本人も多く住んでいるために、昔から「J.J. Town(Japanese-Jewish Town)」と呼ばれているらしいです。 ユダヤ人と日本人は見た目も生活習慣も全く違うし、歴史的バックグランドの違いに関しては、とてもここで一言で書ききれるような簡単な問題ではないことはもちろんですが、ロンドンに住むユダヤ人とロンドンに住む日本人を限定して考えてみると、自分たちの生活スタイルやコミュニティを大切にしながも、他の人種の生活をあえて干渉したりするわけではなく、淡々と平和に暮らしている、という意味では、メンタリティ的には意外に相性の合う部分が多いのかもしれないなぁと思います。
by sayaka-blmusic
| 2009-12-22 10:56
| ロンドンでの日常生活
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