チベット僧の音楽&ダンス体験



前回の「アフガン音楽を聞く夕べ」に続いて、今回もロンドン西部アクトンにある「Asian Music Centre」主催のイベントに行ってきました。

今回のイベントは、「チベット僧の音楽」とテーマにしたワークショップ。チベット仏教や、チベット僧の生活や音楽については、私自身何も知識がないので、全くゼロの知識のままワクワクして向かいました。

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ワークショップで、実際に歌や演奏、踊りを披露して下さったのは、はるばるチベットの僧院から来た、本物のラマ僧の方々!!

チベット仏教といっても、やはり「仏教」の一種なので、お経の部分は、日本のお経とも少し共通するところがあるような感じがしたのだけど、やはりなんといっても違うのは、日本のお経と比べて、圧倒的に「音楽」であること!

7人位の合唱形式で唱えて(歌って)くれたお経は、ところどころ多声部になっていたり、フーガのように対位法的になっていたり、ラッパや打楽器、ベルなどが入ったりします。

お経のようでお経でない。歌のようでいて、歌でもない。不思議な音楽でした。

中でも驚いてしまったのが、この巨大な長———いラッパの、轟音!
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ぶおおおおおおおおおん!!と狭い部屋の中で最初に鳴り響いた瞬間は、そのあまりの迫力と、独特の音色に驚いて、鳥肌がたってしまいました。

音程は口元のみで変えるみたいなのですが、ちゃんと低い音と高い音が出し分けたり音程をつけることができる楽器みたいです。

ぶおおおおおお、ぽーーーー。
ぶおおおおおお、ぽーーーー。

と、低い音と高い音を、順番に出すのですが、これがなぜか決まって毎回、低いシ♭と一オクターブ上のド、という長9度の関係。この少し不自然な響きが、かえって神聖さをかもしだしていて不思議な感じでした。

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こちらは打楽器奏者。ドラのようなドラムを、木の棒(背中マッサージ棒に見えるのは私だけでしょうか…)で鳴らしつつ、手元ではお皿を二枚合わせたようなシンバルを叩きます。一人二役です。


音楽の後は、続いてダンスを披露して下さいました。
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打楽器と管楽器に合わせて踊る僧。
拍子があるかと思ったら、突然なくなったりと、これまた不思議なリズムと拍子。
あえていえば、日本の能に近い感じもしたけれども、能のような「ぴん」と張りつめた緊張感はなくて、かなり脱力して踊る感じのダンスでした。

ちなみに踊りの意味も、衣装の意味も、邪悪を追い払う意味なのだとか。

へええええ…と思って見ていたら、突然
「それでは、皆さんも一緒に踊ってみましょう!」ということに!

そして観客全員で(といっても10人弱)、2列になって、チベット僧直伝の踊り講座。いやーまさか、チベット僧の踊りまで習えるとは思っていませんでした(笑)貴重な体験です。

踊りを教える時のかけ声で「チ、二、スム、シー」と言っていたのですが、これはチベット語の「いちにーさんしー」にあたるものらしいです。日本語に限りなく似ているのでびっくり。ちなみにチベット語は、日本語とほぼ文法が同じらしいです。顔立ちもよく似ているし、やはり同じルーツなのだなぁと実感。


ダンスの次に行われたのは、チベット僧のディベート(問答)のシミュレーション。
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修行の一つとして行われるものだとのことです。手をぱーーんと打ち鳴らしながら、議論の声が飛び交うのですが、静かに真面目に行われるものというより、周りもヤジを飛ばしたり、笑ったり、一緒に参戦したりと、まるで白熱したスポーツの試合のような盛り上がり。
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白熱すると、こんな感じで一人の僧を皆でよってたかって質問攻めにしたりも。

チベット語なので何言っているかさっぱり分からないのですが、それでも見ているだけでエキサイティングでした。


ワークショップが終わった後、好きな楽器を体験させてもらえるということになり、私は一番興味のあった巨大ラッパへまっしぐら!
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ふーーっと息を入れてみたものの全然音がでなくて隣の本物の僧侶さんに笑われてしまっている図…。

その後、思いっきりおなかから息を吹き入れたら、なんとか音は出たものの、中途半端な音が出るだけで、とても彼らのような太くて幻想的な音は出ませんでした。チベット僧は最低15年から20年の修行を積まなくてはいけないそうなのですが、きっとこのラッパも修行が必要なのですね…^^;

ちなみに、こんな長い笛どうやって持ち運ぶんだろう…と思ったら、
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こんな風に縮んでコンパクトになるようです。


下の写真は、日本のでんでん太鼓にそっくりな打楽器。これもお経と共に使われていました。
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でんでん太鼓は、元は雅楽で使われる「振鼓」が元らしいので、やはり大元の由来は同じなのかも。

下の写真は、一見、仏壇の前にあるチーンとならす鈴に見えますが、これも実はれっきとした楽器。
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打ち鳴らすのではなく、上の写真の用に、棒でふちをぐるぐるとこすって音を出すと、「ぅうわああああああん」と、宇宙的な響きが広がります。

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ということで、本当に貴重な経験をさせて頂いた「チベット僧の音楽」のワークショップ。

これまで聞いたこともない音楽、響きを聞くと、今までの人生で一度も刺激されなかった脳みその部分が、突然刺激されて呼び覚まされるようで、本当にドキドキする体験です。

この間のアフガン音楽を聞いた時にも感じたけれども、自分が今まで「音楽」だと思ってきたものは、世界に存在する音楽の、ほんの一部でしかなかったことを痛感させられます。

世界にはまだまだ、私の想像も及ばないような、素敵な素敵な音楽があるのだと思うと、この先の人生でどんな響きに出会えるのか、本当に楽しみです。
by sayaka-blmusic | 2009-12-09 08:43 | ロンドン音楽事情
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