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ロンドンの隠れ音楽スポット「楽譜の古本屋さん」


ロンドンの一角に、楽譜や音楽書籍の古本専門のお店があるという噂を聞きつけ、先々週の週末に行ってきました。

Edgeware Road駅から少し奥に入った静かな裏通りに、突如現れた雑多な店頭。

古本屋さん…というより、店自体が本にうずもれている感じです…。

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半分びくびくしながら店に入ると、まるで絵に書いたようなイメージ通りの「イギリスの古本屋さんのご主人」 が(笑)、すごく優しくあれこれ案内をしてくれました。

楽譜は主に地下だよ〜と案内され地下へ。


地下へ行く階段も
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ひたすら楽譜と音楽書!

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もはや本棚に並べるスペースすらなく、段ボールに入って積み重なっている膨大な数の楽譜。これでもちゃんと、楽器ごと、作曲家ごとになっていました。

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ピアノ譜をはじめ、いろいろな楽器の譜面や、室内楽の楽譜、オーケストラのスコアまで、そして世界中の新旧様々なエディションの楽譜が揃っていて、おもわず歓声をあげてしまいました。すごい!!これはほんとに宝の山です。

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鍵盤の白い部分が半分くらいはがれおちてしまっている古〜いピアノが古本にまみれてうずもれていました。「最近調律したばかりのピアノだよ〜」と、トンでもなく狂った音のピアノのキーを叩きながらご主人が紹介してくれました。うーむこれってホントに調律したんだろうか…それともご主人の一種のブリティッシュジョーク?? 

それにしても、この破れかけた古い楽譜の山の中に、これまた壊れかけたボロボロピアノが、あまりにもしっくり似合いすぎていて、もしかしたら本当に、ここで夜な夜な作曲家の霊たちが集まってこのピアノを囲んでミニコンサートをしているのかも??と思ってしまう位、なんだか不思議な雰囲気に満ちた空間でした。


お目当てのラフマニノフの変わった版の楽譜とかはあまり見つからなかったのですが、代わりに大豊作だったのが、今通っている作曲のクラスで使う参考書類。

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オーケストレーションの本から、対位法の本などなど、この中の数冊は、実際にクラスでおすすめ参考図書として紹介されていて、アマゾンで調べたら一冊40ポンド位もするので諦めていた本もなんとここで発見!しかもこれらのハードカバーの本が、なんと2、3ポンド。安いものは1ポンド以下! きゃああ本当に宝の山です。

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あと面白かったのは、珍しいアフリカ音楽のピアノ楽譜。アフリカ民謡などを元にしたクラシック曲の作曲家といては、イギリスではコールリッジテイラーが有名だけれども、おそらくその流れを組んだ新しい作曲家たちのピアノ曲集やCDなど。最近、民族音楽をモチーフにしたピアノ曲作曲にもすごーく興味があるところだったのでとってもタイムリー!ちなみにこれらの楽譜は古い楽譜でなくて最近出版された新品。このような新古品の楽譜も格安でいくつか売っていました。

一緒に行った夫も、トランペットの楽譜や、ジャズ、ブルースの本など沢山見つかって大喜びで、「今度はお弁当持って一日がかりで来よう!」と言い出すほど(笑)

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店のご主人と記念に一枚。

私たちが夢中になって楽譜などをあさっていたら、おじさん「紅茶でも飲むかい?」と声をかけてくれて、おじさんご自身の水筒からトクトクトクとマグカップに紅茶を注いで淹れて下さいました。ビスケットもたべるかい?とビスケットまで出してくれて、本にかこまれてしばし休憩タイム。おじさんが約40年前にこのお店を始めた時の話など、色々伺っていました。

今や日本では、古本マーケットはすっかり一大市場になってしまって、コンビニの数と同じくらいBOOK OFFの数がある、という状況になってしまったけど(ちなみに私はBOOK OFFも大好きだけれども)、こういう風に、人と人がつながり合えて、カビとほこりの中でボロボロの本の中からお気に入りの一冊を見つけることのできる小さな古本屋さんも、古本屋の原点らしくて本当にいいなぁ…と思います。

このお店の雰囲気とおじさんの温かい心配りにあまりにも感動して、「ブログで写真付きで紹介してもいいですか?」と聞いたら、恥ずかしそうに一応OKを出してくれたので、ここでご紹介。

Archive Bookstore (最寄り駅 ロンドン Edgeware Road駅)
http://www.archivebookstore.co.uk/
83 Bell Street
London NW1 6TB

ロンドン在住の方はもちろん、ご旅行でロンドンに行かれる方も、音楽好きの方だったら、きっとお気に入りのお宝の一冊を見つけられるお店だと思います。

ただしカビ、ホコリアレルギーの方はご注意〜〜(私もしばらくくしゃみと鼻水がとまりませんでした…笑)
by sayaka-blmusic | 2009-11-23 11:05 | ロンドン音楽事情
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