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作曲のクラス


自分の作曲の幅をもっと広げたくて、
現在ロンドンのとある音楽学校の作曲の夜間コースに通っています。

クラシックとジャズの和声理論、コードやモードの理論をふまえた上で、それをどうやって実際の作曲、特にFilm Music(映画音楽)などの作曲に生かしていくかという授業。

自分が今作曲しているピアノ曲のジャンルが、クラシックでもジャズでもなくてどれかというと映画音楽やフュージョンに近いのと、今後映像などとのコラボレーションにもとっても興味があったので、この授業の趣旨と方向性は、今の私の興味のど真ん中ストライク!

余談ですが、ラフマニノフの曲(特にオケの曲)って、クラシックの作曲家の中でダントツに映画音楽に近い気がする。実際映画にもよく使われているし。


さて、このコースを担当している先生は、
実際にイギリスのTV音楽や映画音楽を制作しているイギリス人作曲家。

様々なジャンルの曲の分析をしながら、実際の映画音楽で使われている手法、オーケストレーションの実際的なテクニックなどなどを学んでいます。

教材のジャンルは実に多岐に渡っていて、バッハのマタイ受難曲、ラヴェルやドビュッシーなどフランスものの弦楽四重奏の分析の他、イギリスらしくビートルズの曲のバックの弦楽四重奏パートの分析とか、スターウォーズやインディージョーンズなどで知られる映画音楽の大家ジョン・ウィリアムズを始め、様々な映画音楽の曲の分析などなど。

展覧会の絵や、ラヴェルのマ・メール・ロワなど、ピアノバージョンとオーケストラバージョンが両方存在する曲に関しては、その比較などをしながら、効果的なオーケストレーションに関してディスカッションしたりしていきます。あーーーーこういう授業、ラフマニノフの交響曲ピアノソロバージョン作る前に受けていれば、あんなに四苦八苦しないでもっと楽に編曲できていたかもしれない・・・(T T)

音大の音楽理論や和声の授業では、当然のことながらクラシックの曲の分析しかしてこなかったので、このように様々なジャンルの曲を、様々な方向性から分析する多角的アプローチは、私にとって本当に新鮮。

最近ラフマのソナタを練習していて改めて強く実感したのだけど、はっきりいって、ラフマニノフの曲とかは、クラシックの和声理論のみよりも、ジャズの理論も併用して分析した方が、はるかに分析しやすいし、暗譜もしやすい。ラフマのソナタ2番2楽章の冒頭テーマなんて、思いっきりジャズの典型のツーファイブの連続だし、使われているテンションもジャズと共通しているものがかなり多いし。



このクラスは、宿題もかなり実践的で、映画音楽の王道であるモードを多用した作曲方法(ドリアンのみ、フリジアンのみでの曲作りなど)など、毎回異なる宿題テーマが課されて、そのテーマに沿って、各自PCのシーケンサーで丸々一曲作曲し、更にオーケストレーションして持ち寄り、次の授業で、お互いの作ってきた曲を聴きあってディスカッションをしたりします。

授業の内容も、宿題の内容も、あんまりにも今の自分にとって面白くて、最初の数回の授業では、興奮しすぎて鼻血・・・こそ出なかったものの、酸欠状態になってしまったほど。ヒトって自分の興味のストライクゾーンのことに出会うと、じっとしてても酸欠(逆に過呼吸?とにかく呼吸困難状態)になるんだってこと初めて知りました・・・。

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さて、このクラスは少人数制で生徒は私を含めて4人。このコースはある程度既に作曲や音楽活動のバックグラウンドがある人対象のコースなのですが、そのバックグラウンドが皆さまざま。

一人目はイギリス人のCくん。

一度彼の作曲の宿題を初めて聴いたとき、そのまんまディスカバリーチャンネルのドキュメンタリーで流れていてもおかしくないようなセンスと完成度の高さに仰天し、「この人、どう考えてもプロ!! 」と思って、授業のあとに直接本人に聞いたら、彼はダンスミュージックなどの作曲をしながらDJとして10年以上イギリス各地で活動した後、自分で音楽製作会社を設立し、BBCやMSNを顧客に音楽提供をしているというホントのプロでした・・・・・・。 彼は今更クラスを受ける必要があるんだろうかと疑問に思うんだけど、本人曰く、感覚だけで作ってきたから理論に自信がなくて、このクラスを取ることにしたのだとのこと。 毎回、彼の宿題はめちゃくちゃ聴くのが楽しみ!

もう一人の生徒はロシア人のSちゃん。 ロシアでバリバリのクラシックピアノの英才教育を受けてきたのだけど、数年前にロシアでなんと宮崎駿の映画を見て、久石壌の音楽に感激し、アニメ映画音楽を勉強するためにロンドンに来たのだそうです。一年目は大学院で映像音楽を実践的に学んでいて、今年は更に作曲に焦点を宛てて学ぶ為に、このコースを取ったのだそうです。今から数年はロンドンにいるけれども、いつか日本でアニメーション映画の音楽制作に関わるのが夢なのだそうです。

私はラフマニノフが好きで好きで、ロンドンでも日本でもラフマニノフばかり演奏しているんだということを言うと、「ロシア人の私が日本に行くのが夢で、日本人のあなたがロシアのラフマニノフを演奏してて、それでお互いロンドンにいるって、なんだか不思議な感じね」と笑っていました。

そんなんで、皆全く別々のバックグラウンドを持ちながらそれぞれ生み出す音楽は、個性に溢れていて、同じ課題に対しても、全くテイストの違うものが出来上がってきます。 毎回の皆の宿題を聴いたり、ディスカッションをしたりしながら刺激を受けるのが、楽しくてしょうがないです。

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音楽とは本当に幅広くて、
今この瞬間にも、世界中の様々な場所で様々な人たちが、
それぞれ湧き上がる気持ちを音にして、新しい曲や歌が生まれている。

今まで20年以上ずっと、弾く側のみにいたけれど、
作る側にも立ってみて初めて気づいた、大切な沢山のこと。 

今まで何気なく弾いてきたベートーベンやモーツァルトなどのピアノの作品も、どこか、ただ弾きこなすための「テキスト」として捉えてしまっていたのだけど、どんなに素晴らしい「芸術作品」だったのかいうことも、作曲を学べば学ぶほど改めて気づかされています。

自分の中で、ここ最近、音楽に対しての観念が
ガラガラと音を立てて変わっていっているのを、感じています。

音楽ってやっぱり、本当に素晴らしい。
by sayaka-blmusic | 2009-11-14 08:40 | ロンドン音楽事情
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