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ラフマニノフ交響曲ピアノソロバージョン編曲 やっと仮完成!

最近の練習は、5月7日(水)にロンドンで行うラフマニノフリサイタルに向けて、ラフマニノフのプレリュード集を中心に練習しているのですが、それと同時に最近力を入れているのが、ラフマニノフのオーケストラ曲の、ピアノソロバージョンへの編曲作業です。

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現在アレンジしている曲は、先日のブログ「号泣コンサート」にも書いた、ラフマニノフの交響曲第2番の第3楽章。

第2番というと、「あー、のだめカンタービレで千秋が弾いてのだめが影響受けて猛練習していたあの曲ねー」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、あれはピアノ協奏曲の第2番で、今回アレンジしているのは協奏曲ではなく、オーケストラのみで演奏される「交響曲」の方の第2番です。

この曲は、大好きで大好きで、聴く度に涙を流してしまう曲なのですが、
コンクールやコンサート等で頻繁に演奏されるピアノ協奏曲2番と比較すると、
ラフマニノフの交響曲の方は演奏されることが少ないので、よほどクラシックやラフマニノフが好きな人でない限り、あまり知られていない隠れた名曲です。
音大生でも「ラフマニノフの交響曲は聴いたことない」っていう人は意外に多いし。



うーーーん、こんなに名曲なのに、もったいない・・・・。



自分自身のコンサートでも演奏して、一人でも多くの人にこの曲のことを知ってもらいたい!と思い、ピアノソロバージョンの楽譜を探してみたところ、
何人かのアレンジャーによって編曲されている異なるバージョンが幾つか出版されているものの、どれも簡略化されすぎていて、大好きなフレーズも半分以上カットされてしまっている。

この曲の魅力を最大限に引き出せるピアノソロバージョン、
無いなら自分で納得のいくものを、自分自身で1から編曲してみよう、と思い、
ロイヤルアカデミーの図書館からオーケストラのスコアを手に入れて、1月末位からこの曲のピアノバージョンへのアレンジを始めました。

ラフマニノフのピアノ協奏曲の方については、これまでに幾つか自分自身でソロバージョンやトリオバージョンに編曲をしていて(ピアノ協奏曲第2番ピアノソロバージョン・トリオバージョン・フルート&ピアノバージョン・チェロ&ピアノバージョン、パガニーニの主題による変奏曲18変奏ピアノソロバージョン、 などなど)、 コンサートでも演奏しているのですが、フルオーケストラの為の曲である交響曲のピアノバージョンへの編曲は私にとって初挑戦。

オーケストラ曲をピアノ用にアレンジ、ということは、
100人近くで演奏し10以上のパートから成る曲を、
1台のピアノで、たった2本の手で演奏できるようにアレンジしなくてはいけません。

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冒頭のテーマ部分のスコアの一部。ラフマニノフの曲の中でもベスト3に入る珠玉の名メロディだと思います。このメロディを見て、「ああ、この曲のことね!聴いたことある!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。


オーケストラのスコアのコピーを並べ、いくつかのオケによる演奏を聴き比べながら、
重要なパートに印をつける作業からスタート。ソロバージョンに含める候補のパートを全てピックアップした後、五線譜に書き写しながら、2本の手で演奏可能な範囲で音数を調整していきます。同時に極力和声的な禁止事項などに抵触しないよう各パートの動きや和音の転回を微調整。


うーー、ここはクラリネットのパートは入れたいのに
バイオリンパートと一緒に弾くと指が足りない・・・。
うーーーーでもフルートのパートも入れたい。
ああああファゴットパートも捨てがたい・・。

断腸の思いで、いくつかのパートを諦めながら、
可能な限り原曲に忠実にピアノで再現できるよう、音を並べていく。

ちなみにラフマニノフはこの素晴らしい第3楽章を、たった2日で作曲したそうです(参考:伝記「ラフマニノフ」音楽之友社))。それをピアノバージョンにするのに数週間もかかってしまった私・・・。うーーむ、天才のメッセージを凡人が理解するには時間がかかります・・・・。


それにしても、この曲にはやっぱり底知れない魅力があるなぁ・・・と、
今回編曲をしていて改めて思わされました。

ロンドン地下鉄の喧騒の中、自宅の狭いフラットの机の前、
繁華街Oxford Circus駅前のマクドナルドのテーブル、などなど
おおよそラフマニノフの雰囲気とはかけ離れた状況の中で編曲作業をしていても、
iPodでこの曲のオーケストラの演奏を聴きながら、スコアを眺めていると、頭の中に信じられないくらい広大な世界がぶわーーーーっと広がって、ついついまた涙が出そうになる。
マクドナルドのテーブルで、一人五線紙を前に鉛筆を握り締めて涙を流している姿はハタから見るとかなり怪しい人ではあるのだけど・・・。

ラフマニノフの音楽って、聴いていると
ある国の一定の景色が写実的なイメージとして思い浮かぶというよりも、自分の中での内的世界の景色が広がっていく感覚がします。
普段の生活の中ではなかなか足を踏み入れることのない、心の中に広がる「無意識」という名の無限の海に、一瞬のうちに連れて行ってくれる、そんな感覚です。


そんなこんなで、ここ1ヶ月ほど進めていた交響曲第2番第3楽章のピアノソロアレンジ、
やっと先日、仮完成しました!

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完成したのはいいのですが、
欲張って色々な楽器のパートを詰め込みすぎて、かなり技術的に演奏困難な曲になってしまい、現在、自分自身の書いた楽譜と格闘しながら練習中・・・。

完成バージョンは、2008年5月7日(水)にロンドン・ピカデリーサーカスのSt.Jame's Churchで行う松本さやかラフマニノフリサイタル第3弾 「Preludes + (プレリューズ・プラス)」(仮タイトル)にて、初公開予定です。


日本ではちょうど昨日、妹松本あすかの六本木STBでのライブが無事終わったとの報告をもらいました。お疲れ様あっちゃん!そしてこのブログをお読みの方で、会場まで足を運んで下さった皆様、本当にありがとうございました。




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■追記■

ラフマニノフ交響曲第2番第3楽章の動画、YouTubeで見つけました。

- YouTube動画 ラフマニノフ交響曲第2番第3楽章(アンドレプレヴィン指揮 N響)

- YouTube動画 ラフマニノフ交響曲第2番第3楽章後半より (プレトニョフ指揮 ロシア国立交響楽団)


この曲のCDも世界中のオーケストラから沢山出ています。
3楽章だけでなく他の楽章も超名曲なので、視聴だけでも是非聴いてみて下さい。
(記事トップのCDジャケットは、私のお気に入り版の一つ、ヤンソンス指揮サンクトペテルブルグオケの版のものです)

- amazon.co.jpでのこの曲のラインナップ

- amazon.co.ukでのこの曲のラインナップ

by sayaka-blmusic | 2008-03-15 10:46 | ラフマニノフについて

ピアノの暗譜と「海馬」

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最近、「海馬」というとても興味深い本を読みました。

著者は脳科学者の池谷裕二氏。彼の著書は「進化しすぎた脳」「海馬」「脳は何かと言い訳する」の合計3冊を読んで、どれも面白くておススメなのですが、その中でも「海馬」がダントツに良かったです。インターネットの「ほぼ日刊イトイ新聞」で有名な糸井重里氏の対談形式でとても分かりやすく、脳や海馬についての専門知識がなくてもとても楽しめる本でした。

さて海馬は脳の中で記憶を司るタツノオトシゴ部分ですが、ピアノの楽譜を完全に丸暗記する「暗譜」の作業は、まさにこの「海馬」との戦いです。

さてここで、突然ですが問題です。


Q. ピアノの楽譜1ページ分には、だいたい何個の音符が書かれているでしょうか?



って私も実際数えたことないので、 実際に数えてみました。
(何だかトリビアの種みたいになってきたな・・)

次のコンサートに向けて準備中のラフマニノフのプレリュード集の楽譜から、音数が平均的なページを選んで実際に数えてみたところ、だいたい400~600個位。ということは、5分位の曲(8~10ページ位)だと、一曲に付き約5000個。 一曲だけならまだしも、フルリサイタル2時間分の曲を丸暗記するとなると、合計で10万個以上の音を脳内に詰め込まなくてはいけないことになります。

もちろん通常ピアノの曲を暗譜する時には、「耳(音で覚える)」「触感覚(手の筋肉に覚えこませる)」「視覚(楽譜を写真のように記憶する、もしくは手の動きを目で覚える)」「言語感覚=形式(和声やメロディラインのパターンなどを手がかりに覚える)」など、色々な方法を組み合わせて暗譜をするので、日本史のテストのように、本当に10万個の音を「丸暗記」する訳ではないのですが・・・。

ちなみに、視覚・聴覚・触覚・言語感覚、どの感覚に頼った覚え方が一番効果があるかは個人のタイプによって差があるそうです。(この辺りのことはアーティストコーチの青木理恵先生の著書「コーチング・ピアノレッスン」に詳しく説明されています)。 ちなみに私は完全に「言語感覚派」らしく、楽譜を分析して和声やフレーズに印をつけてそれを頼りに丸暗記していくタイプです。聴覚が弱いのか耳で何回聴いても覚えられません・・・。ちなみに「のだめカンタービレ」ののだめは典型的な聴覚派タイプですよね。

でも、どの方法で覚えるにしても、本当に「耳」や「手」が記憶しているわけではなく、実際は脳を通じて覚えている訳なので、結局は脳で記憶の生成を担当する海馬さんにお世話になっていることになります。


ということで話は「海馬」に戻ります。


「シンプルイズベスト」のモーツァルトなどとは対照的に、言いたいことを「これでもか」というほど全部詰め込んで奥深い感動を作り出すラフマニノフの曲は、聴いている分には良いのだけど、弾こうとすると何しろ音符数が多い! 一番複雑な部分だと、たった数小節を暗譜するのに1時間位かかることも・・。 まだまだ新たにレパートリーに加えたいラフマニノフの曲が沢山溜まっているのに、膨大な量の暗譜作業を目の前にすると立ちすくんでしまう・・。うーむ、どうすれば・・・。

そんな時に出会ったこの「海馬」の本。

暗譜に役立つことはないかなぁ・・・と超不純な動機で読み始めたのですが、そんな不純な期待にもしっかり応えてくれて(笑)、暗譜に役立ちそうなこと満載でした。もちろんそれ以外にも「へぇえええ!」と驚くようなことや、考えさせられることなどもぎっしり詰まっているのですが、とりあえず暗譜に直結しそうな情報を以下にピックアップしてみました。

1.脳は疲れない

暗譜作業が行き詰ってくると、何だか脳が疲れてきたように感じることがありますが、実際脳は寝ている間も働き続けるほど元気いっぱいで、死ぬまで疲れないんだそうです。 疲れていると感じているとしたら脳ではなく、目が疲れていたり、同じ姿勢を続けていたりすることからくる疲れだとの事です。 なので目を休めたり、体をストレッチしたりしてから再開すればOK。 「脳は疲れない」と思っているだけで、不可能そうな暗譜も頑張れそうな気がしてくるから不思議です。

2.脳を一番活躍させる状態は、生命に危機を感じる状態 (適温でない温度・空腹状態など)

ちょっとお腹が空いていたり、ちょっと寒すぎたりする方が、脳が生命の危機を察知して余計に働くんだそうです。そういえば小中学生の頃、妹あすかと、猛暑の真夏にあえてエアコンを一切つけずにサウナ状態の中汗をダラダラ流しながら練習するというのが2人の間で流行(??)して、「この方が何だか集中できる気がしてくるよね!」と訳の分からない同意をし、それぞれピアノ室にこもって、練習が終わった後に「こんなに汗かいたねーーー」とお互いねぎらう(?)という思いっきり体育会系な練習をしていた時期があったのですが、あれもある意味、生命に危機を感じる状況で脳を働かせるという意味では理に適っていたのかも・・・・。



3.脳は新しいことを処理する能力に長けている

この本によると、新しい刺激は海馬を活性化させるらしいです。 ここから先は単なる私の勝手な解釈と仮説でしかないのですが、手で何となく弾き慣れてしまって中途半端に暗譜した曲を後からしっかり暗譜しようとしても、何故かなかなか覚えられない。逆に、初めて譜面を見た時に、無理してでも譜読みと同時に一気に暗譜をした曲の方が、しっかり確実に脳に深く刻み込まれている気がします。しかも本番の時の記憶の再生率(暗譜の確実さ)も遥かにこの方がいい。 海馬は記憶の「はんこ」の型を作る場所で、押されたスタンプ(記憶)自体は別の場所(大脳皮質)に保存されていくらしいのですが、まだ中途半端に馴れっこになっていない真新しい曲を、譜読みの時点からしっかり暗譜した場合は、この「はんこの型」がもの凄く深く刻み込まれて、良い質の記憶が生成されている気がします。


4.やりはじめないと、やる気は出ない

脳の「側座核」という場所に「アセチルコリン」という神経伝達物質によってやる気を生み出す場所があるらしいのですが、この神経細胞はある程度刺激がこないとなかなか活動しないそうです。なので、やる気が無くてもとりあえず始めてみると、側座核が自己興奮してきて「やる気」が生み出されるらしいです。 「作業興奮」とも言われていて、作業しているうちに脳が興奮してきて作業に集中できる、という現象だそうです。 確かにピアノでも他のことでも思い当たること多々ある気がするので超納得! 「朝の目覚め」もそうかも。目が覚めてから起きようと思っても永久に起きられないし、とりあえず辛くても起きてみて何か始めてみるとだんだん脳が自己興奮してきて頭が徐々にスッキリしてくるし。



ということは、要約すると、暗譜を効率よくするには、

(1)空腹状態で
(2)40度の熱気か零下の寒さの中
(3)まだ弾いたことのない真新しい曲の「譜読みと暗譜の同時作業」を
(4)やる気がなくても取りあえずまず始めてみる。
(5)それでも脳は疲れない。

って何だかなんかの修行みたいだなこりゃ・・。
これで良い音楽ができるかどうかというのはまた別の問題ですね、きっと(笑)
by sayaka-blmusic | 2008-03-07 09:58 | ひとりごと

リアル24?? 恐怖のペイントボール初体験

今話題のペイントボール、初体験してきました。
ペイントボールとはアメリカで発祥したスポーツゲームの一つで、基本的には2チームに分かれ、圧縮ガスを利用した銃で、小石サイズの塗料入りの弾(ヒットすると弾が破裂して色が付く)を打ち合うゲーム。

アメリカで1981年に発祥し、現在ではアメリカだけでなくヨーロッパ全土において大人気で、プロチームによるリーグ戦もあるというから驚き。最近はアジア、日本にも広まってきているとのことです。

ロンドンにも、ペイントボール専用の屋内・野外施設がいくつかあるようです。
今回私達が利用した「ELECTROWERKZ 」もペイントボール専門の屋内施設。
ロンドンの金融街シティのはずれのAngel駅から徒歩2分くらいのところにあります。

友達同士や、会社や学校のイベント等で20人以上で申し込むと、施設ごと借り切ることができるということなので、私も知り合いに誘われて今回参加させて頂きました。費用は一人約15ポンド+弾代(各自希望する分だけ買う)。物価の高いロンドンでのエンターテイメントとしては比較的気軽に楽しめる値段です。

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上の写真はペイントボール会場「ELECTROWERKZ」の入り口。会場に入ると、まず着替え。ペイントボールでは弾が破裂すると塗料で色が付くため、汚れてもいいように、会場備え付けのつなぎのアーミー服に着替えます。

心臓部分等を守るプロテクターも各自に配られます。
この時点でふと疑問が・・・。
小型ピストルみたいなので撃ち合う水鉄砲ゲームみたいなのを想像してたのだけど、
水鉄砲だったらプロテクターはいらないような・・・。 もしやかなり痛い&危険・・・??

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着替えた時点で女性メンバーで記念撮影。ジャージの上にプロテクター&アーミー服で、モコモコ状態です。これなら弾あたっても痛くないかも。

しかしここから更に完全防備に入ります。
各自必要分だけ弾を購入し(1袋5ポンド)、弾入れサックを腰に巻いて、更にフェイスマスクをかぶります。ゴーグルを付けるとは聞いていたのですが、ゴーグルというより完全にガスマスク!

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この姿になると誰が誰だか殆ど判別不可能です。(ちなみにこの写真は私ではありません)
この格好で20人以上がわらわらいるだけで怖すぎ。

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上の写真はゲームで使う弾丸(ペイント弾)。塗料入りと聞いていたので柔らかいのかと思っていたのだけど、表面は結構硬い。普通に地面に落としてもなかなか割れません。

ゲームフロアに入る前に、係員から安全事項について厳重な指示と注意がされます。
「危険なのでどんなことがあってもフロア内でマスクを外してはいけない。ゲームが終わったらすぐに銃口にキャップをし、ゲームエリア以外に絶対に銃を持ち出さない」などなど。
いよいよゲームの行われるエリアに入ってみると、中は3~4フロアから成る巨大な廃墟風の内装になっていて、石造りでひんやりする薄暗く不気味な空間に、土管や飛行機やトラクターの残骸が配置されていてリアリティありすぎです。

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上の写真は、1つのフロアのわずか一部分。内部は迷子になるほど入り組んだ3~4階建ての建物で、ここの全てのフロア及び階段や廊下なども使って20人以上で一斉にゲームをすることになります。

次にゲームで使われる銃が一人一つずつ手渡されます。
最近は「銃」という言い方に含まれるネガティブな言い方を避ける為に「ペイントボールマーカー」と呼ばれていると聞いていましたが、ここの係員達は思いっきり「Gun」と言っていました(笑)

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実際私から見ると、会場の薄暗い雰囲気も手伝ってか、銃を通り越してマシンガンに見える・・・。しかも思ったよりかなり大きいし重い。弾を飛ばす為の圧縮ガスのボンベが付いています。

審判がテストで何発か発砲。

ズドドドドドドドドド。

ひいいいいいいいいいいいいい!!!!

爆音の銃声(しかも石造りの屋内なのでやたら響く)を至近距離で聞いたことなんて産まれて初めてなので、もう音だけでびびってしまって逃げ出したい気分。仲良く水鉄砲でぴゅっぴゅっという、昔なつかし「風雲たけし城」のイメージとは180度違いました。

約3時間の貸切時間で休憩を挟みながら、合計5つの違ったゲームを2チームに分かれて行うことになります。

まず審判から1つ目のゲームのルール説明が始まる。
土管の沢山並んでいる、最上階の部屋のみを使って、2チームが逆側からお互いの陣地にある旗を目指して突進していくという、棒倒しのペイントボールバージョン。打たれた人は自己申告して随時退場とのこと。

うーーーーピアノの本番にはない、変な種類の緊張・・・。背中に悪寒が走ります。
何が怖いってこの建物の雰囲気が怖すぎ。そしてこのアーミー服の銃を持った軍団(私もその一員な訳だけど)も怖すぎ。このまま更にゲーム開始になって撃ち合いが始まったら私失神するかも・・・。

いよいよゲーム開始。
最上階のフロアに移動し、審判(marshal)の合図と共に、銃声がそこらじゅうに一斉に鳴り響く。

男性陣は果敢に撃ちながら土管の陰を伝って、相手の陣地めがけて進んで行っているものの、私は銃声の爆音にすっかり腰を抜かしてしまい、土管に隠れたまま、1,2発撃つのがやっと。しかもその僅か1,2発撃とうとした際に、しっかり弾をくらってしまい即行退場。弾を撃たれると、手を挙げて審判に自己申告し、横のエリアに各自退場します。

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ちなみに土管はこんな感じ。このような土管が隠れ場所として会場内に無数に置いてあります。(上の写真はゲーム中ではりません。ゲーム中は危険すぎて写真を撮るのはとても不可能でした・・)

一つ目のゲームが終わった時点で、既に顔面蒼白で立ち尽くしている私に、周りの皆は「サヤカは取り合えず手袋した方がいいよ、絶対!」と薦めてくれて、会場からプロテクタ付きのごつい手袋を借りて装着。よし、これで取り合えず手は安全。


「次のゲームはless frighteningだから大丈夫だよ、きっと」と周りに励まされ(?)再びフロアへ。次のゲームは全フロアを使っての、旗取りゲーム&宝探しゲーム。
相手チームが、壁の陰、土管の陰、どこに隠れているか分からないため、仲間内で2,3人ずつのグループに分かれて、廊下や階段の壁をつたいながら「Clear?」「Yes, Clear」と合図をかけつつ、じりじりと建物内を息を潜めて進んでいく。さっきのゲームのようなスピードの恐怖はないものの、まるでアメリカのテロ対策本部ドラマ「24」の世界をそのまま体験している気分。「Drop your gunー!!!」 とジャックの真似をして叫んでいる人も。ううう、「24」観るのは大好きだけど、実体験はいらないです。心臓に悪い・・。

途中からこのハラハラにも耐えられなくなり、旗の見張り番として陣地の近くの土管の陰に隠れる役に専念。あまりに誰も来ないので逆に怖くなって不安になってモゾモゾと様子を見に出て行ったら、その隙に相手チームに旗を取られて負けました。つくづく全くチームに貢献していない私・・・・。

全部で4,5種類のゲームを行ったのですが、
一番怖かったのは、チームから各一人ずつが順番にエリアに出て行き、相手チームの代表と1対1でどちらかが撃たれるまで撃ちあうというもの。
勝った人の人数の多さでチームの勝敗が決まります。全員に必ず順番が回ってくるし、合図から5秒以内に勝負の場に出て行かないと無条件で負けになってしまうというルールがあるため、隠れている訳にもいかず、自分の番が回って来た時には、もう半泣き状態でフロアへ。(で、結局撃たれて負けました。)

比較的気楽だったのは、最後の「鬼探しゲーム」。
3人の犯人役が先に会場内のどこかに隠れ、残りの20人位が、彼らを探しに行って包囲するというゲーム。立て篭もっているテロリストを追い詰めている機動隊みたいな感じで、
団体行動をしながら建物内部を探っていきます。私はグループの最後にちょこちょこくっついて様子を見ているだけだったのですが、運悪く犯人役になってしまった3人は、包囲されて四方八方から撃たれてしまったらしく全身痣だらけに・・・。


ということで合計5つのゲームが終わり、
3時間に渡る恐怖のイベントが終了。

いやーーー怖かった・・・。

考えてみたら、ジェットコースターやお化け屋敷も雷も、
とにかくびくびくしたりハラハラしたりびっくりすること自体が大嫌いな私が
仮想だとしても生命の危機を感じるこのゲームが性に合うわけが無かった・・・・・。


とはいっても、ペイントボールは、現在全米では高齢者や女性も含め700万人以上の競技人口(スノーボード人口より多いそうです)、世界では1400万人を超える競技人口にまでなり、プロによるリーグ戦も行われている大人気のスポーツ。なんとアメリカではディズニーランドを借り切って大規模にペイントボールのイベントが行われることもあるそうです。

今回自分が経験したあの怖さからは、「1000万人以上の老若男女から親しまれているスポーツ」というイメージにはどうしても結びつかなかったので、このまま私の中で偏見だけ残ってもいかんと思い、ネットで色々調べて見ました。

Wikipediaによると、ペイントボールは戦争の再現だとか危険すぎるんじゃないかな等の議論や誤解があるものの、実際は倫理性も安全性も認められている健全なスポーツであり、審判の元でルールに従ってプレイすれば、他のスポーツよりむしろ怪我率は低い安全なスポーツだとのことです。

もともとペイントボールは、アメリカのとある牧場主が、酪農の際に牛の色別マーキングに使うためのペンキ弾入りのネルスポットガンと呼ばれるもので、牧場で働いている人達同士で週末にゲームをし始めたのがきっかけだそうです。つまり、戦争とか犯人確保とかのイメージより、牧場やフィールドでのアウトドアスポーツ、といった方が元々のペイントボールのイメージには近いのかも。

そもそも基本的にペイントボールは野外のフィールド等で行うもので、屋内バージョンは後からできたものらしい。しかも、今回のようなお化け屋敷風というか廃墟風の会場は、私がネットなどで見た限りでは、かなり特殊な部類に入るみたいです。

野外バージョンのレビューをネットなどで見てみると、青空の下、フィールドを駆け回ったり木の葉の陰に隠れたりとワイルドで楽しそう。銃の音も、野外だからか「シュポポポポーン」という抜けた音で、これだったらあんまり恐怖感は感じない。

更にYOUTUBEでプロリーグのペイントボールの試合を見てみたら、れっきとした「スポーツとしての競技」の雰囲気で、今回私が体験したペイントボールとはだいぶ印象が違いました。

今回の会場で行ったペイントボールは、スポーツとしてのペイントボールそのもというより、ペイントボールの応用版というか、娯楽性や雰囲気を重視したホラーエンターテイメント(?)みたいなものだったのかなぁと思います。

ちなみにゲーム中、土管の陰を立ったりしゃがんだりと、普段しない動作を繰り返していたら、翌日から丸三日間全身の筋肉痛に苦しんだ上に、ペイントボールが終わった当日の夜は一晩中、銃を持っている敵の軍団に追いかけられている悪夢にうなされていました。
うーーーん、やっぱり私には向かないのかも。


<参考>
- Wikipedia ペイントボール
- 日本ペイントボール協会のサイト
- 今回のロンドン・エンジェルのペイントボール会場「ELECTROWERKZ」(私には怖すぎたけど、ホラーやスリリング体験が好きな人にはたまらなく面白いかもしれません)
- ロンドン近郊のペイントボール野外・屋内会場一覧
by sayaka-blmusic | 2008-03-01 09:10 | ロンドンでの日常生活