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伝える音楽 伝わる音楽


先週末の8月4日土曜日、
ロンドン郊外のWelwynにて、プライベートコンサートをさせて頂きました。

もともとは、4月28日の妹あすかとのロンドン公演Rhapsodiesの時に聴きにいらして下さっていたRosegardenさんが、
「うちのフラットの玄関ホールにピアノがあるので、もし良かったら、さやかさん、そこでソロコンサートをしませんか?」とお話を下さったのがきっかけ。

是非!とお返事したところ、
フラットの住民会議で提案して下さり、
住民の皆さんのご了解を頂いて、無事開催できることになり、
日本人ご夫婦のRosegardenさんご夫妻や、
フラット住民会長のイギリス人Janさんご夫婦が中心となって、企画を進めて下さいました。



ロンドンから北に、車で1時間ほど行ったところに位置するWelwynは、
野原に野うさぎや馬なども見える、自然の多い美しい街。

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コンサート会場であるフラットは、
フラット(アパート)というより・・・・・

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白亜の邸宅!!! なんて素敵・・・・。
この大邸宅に、たったの6家族が住んでいるそうです。

コンサート当日は、
フラットに住んでいる6家族中のうち2家族は、
残念ながらご旅行の予定と重なってしまっていていらっしゃらなかったのですが、
残り4世帯の方々が、各世帯10人~15人くらいのゲストを呼んで下さり、
合計60人位のお客様を集めて下さいました!


コンサートの始まる前は、
ガーデンパーティも催して下さり、
大きなガーデンで、テント付きのテーブルに、
皆さんが用意して来て下さったお料理やワインが・・。本当に感謝です。

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これから演奏を聴いて頂けるお客様と少しの歓談をさせて頂いたあと、
演奏準備に入るために一人控え室に。

一人で心を落ち着ける為に、椅子に座って、深呼吸。
いつもの本番前は、
手が冷たくなって、心臓の鼓動も早くなるのに、
今日は始まる前から、
心に温かい気持ちや感謝の気持ちが溢れていて、
今日のコンサートは、絶対に、ただただ音楽を感じて弾ける、
不思議とそんな確信がありました。


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コンサート開始直前の会場の様子。
フラットの玄関ホールの部分に、フラットの皆さんが椅子を集めて
会場を作って下さいました。



今日のプログラムは

(前半)

1.ドビュッシー グラドスアドパルナッスム博士
2.ドビュッシー 月の光
3.ドビュッシー 喜びの島
4.リスト ラ・カンパネッラ

(後半)

5.バッハ インベンション第一番 松本あすかアレンジバージョン
6.小山清茂 かごめ変奏曲 (イギリス人のお客様が多い時は、定番曲になりつつあります!笑)
7.ラフマニノフ 楽興の時 No.3 No.4
8.ラフマニノフ ピアノコンチェルト第2番 第1楽章 ピアノソロバージョン

(アンコール) ラフマニノフ パガニーニの主題による変奏曲 第18変奏 ソロバージョン

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ピアノは、アンティーク調のベビーグランドピアノ。
蓋が横にではなく縦に開く、変わった形の素敵なピアノでした。

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ちょうど1年前のブログにも書きましたが、
ホームコンサートの力って、大きいなぁと思います。

演奏していても、曲間のトークをしていても、
お客様一人一人が、本当に一生懸命聞いてくださっているのが、
至近距離で、手に取るように伝わってきて、

自分が頑張って演奏するというよりも、
一緒に音楽を楽しみたい、というそんな気持ちで演奏することができて、
弾いている間、本当に幸せでした。

お客様の温かい雰囲気に本当に支えられたな・・と思います。

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コンサートが終わった後のガーデンパーティにて、
企画して下さった方のお一人であるJanさんや、フラットの方々との一枚。





この日、今までと違う気持ちで弾けたのは、
3日前にお会いした、ある方の言葉が、
とても私の中で響いていたから・・ということも
もう一つの理由でした。


コンサートの3日前の水曜日、
ロンドン在住のアーティストコーチ青木理恵先生が定期的に主催されている「アーティストの為のコーチングサロン」にて、あるピアニストの方とお会いしました。

この方は、デュオの演奏活動に加えて音楽療法もやっていらっしゃるピアニストの方なのですが、

「本番の時、どうしても音楽に集中できなくて堅くなったり、
聴いている人がどう思ってるか気になったり、
変な緊張をしてしまうんです」

というお話を私がしたところ、

彼女は

「音楽そのものの力を信頼するようになったら、緊張しなくなった」

と教えてくれました。

この言葉、私の中で、物凄く心に残ったんです。

この方は、音楽療法を始めてから、
音楽そのものが人に与える力の大きさを実感し、
それ以来、演奏の際に、音楽そのものの力を信頼するようになったというお話でした。


そうだよなぁ・・・・。


音楽を聴いて、人が本当に感動するのは、

曲そのものや音楽そのものに詰まっている本質の良さが、
聴いている人に伝わるから。


私は今まで、
コンサート等人前で演奏する時、

せっかく私の大好きなドビュッシーやラフマニノフの曲達を聴いて頂くんだからと、
なんだか体中に力を入れて
頑張って「伝えよう伝えよう」としていた気がする。


音楽は、「伝える」んじゃなくて、

きっと 「伝わる」 ものなんだな、と

彼女の言葉を聞いて、気付きました。



「伝えよう」とした途端、
逆に伝わりにくくなってしまうものも、あるのかもしれない。



自分の技術をひけらかすとか、
自分の力で何かを伝えるとかでなくて、

曲や音楽そのものの感動が自然と伝わっていく、
そのパイプ役になれるピアニスト、

私の目指すピアニストの究極の形だな・・・と思います。


正直、自分なりに上手く弾けた時には「すごい!」って言ってもらいたくなる時もあるし、
自分の名誉も賞賛も求めない、
仙人みたいな超越した域には、正直なかなかなれそうもないけど、


でも、今まで私自身が、観客として聴きに行って
感動して涙を流した演奏会って、
どんな演奏だっただろう、と思い起こしてみた時、


音楽を聴いている間、
有名な誰それが弾いているとか、
この人、こんなに凄いテクニックで弾いてるとか、
そういうことが不思議なくらい頭から消え去って、
ただただ音楽そのもののパワーとエネルギーを感じて
涙が溢れた気がする。



「観客が、演奏者を見ている」のではなくて、
聴いている人も、弾いている人も、
一緒になって、ただ、音楽を見上げている、

そんな演奏。


きっと、
そんな演奏が出来るようになるために、

音楽と観客を繋ぐ、詰まりの無いパイプ役になるために、

テクニックの練習や、解釈の勉強が必要なんだなぁ・・と思います。



「チョコレートシェークを飲む者が、"なんて素晴らしいストローだ" と言うだろうか」
私の大好きなゴスペルピアニスト Jeff Nelsonの言葉です。




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今年始めから立て続けにコンサートが続いていましたが、
この後、2ヶ月程イギリスでのコンサート活動はお休みです。

10月後半に、2週間一時帰国して、
東京にて3回のコンサート出演が決定しました。
詳細は近日中にブログにて発表させて頂きます。
by sayaka-blmusic | 2007-08-09 06:08 | コンサート関連