(注:今回の記事はかなーり長いです。)
ロンドン郊外のショッピングエリアには必ずといっていいほどあるのが、 チャリティショップ (charity shop)。 一般家庭等から寄付された、不要になった洋服や靴、食器、おもちゃなどが売っている、 日本でいう「リサイクルショップ」です。 恐らく地代の関係で、Zone1の繁華街などには多くはないのですが、住宅街の多いZone2以降になるとどんなに小さい町でも、商店街に必ず数店あります。私の住んでいるエリアは特に多く、メインストリートだけでも5,6店のチャリティショップがあります。 チャリティショップとリサイクルショップとの一番の違いは、収益が福祉を目的に寄付される非営利活動であるということと。商品も、買取という形でなく寄付。またショップの店員も、基本的に無給のボランティアの方たちです。 なので、チャリティショップの入り口には、 上記の写真のような、ボランティア募集のお知らせが貼ってある店が多く、またそれぞれのチャリティショップが、それぞれの目的を持っていて、買う側にとっても、どのような活動に寄付されるのかが分かるようになっています。 例えば、 収益はガン(癌)研究のための資金となる、Cancer Research UKのチャリティショップ。 学習障害(LD)の子供たちへの募金を目的としたNorwoodのショップ。 北ロンドンのバーネット地区にあるホスピス「North London Hospice」が直接運営するショップ。 ガン患者の為のケアとホスピスへ寄付が目的の Marie Curie Cancer Careのショップ。 そしてロンドンで最も頻繁に目にするチャリティショップはOxfam。途上国や難民の飢餓・貧困救済活動をしている、世界的に有名なチャリティ団体です。このOxfamだけでイギリス内に700店舗あるとのこと! 他にも沢山のチャリティショップがあるのですが、どのショップも、上記のようにぞれぞれの活動の明確な目的を掲げています。売り上げから、店の維持費を抜いた分がそのまま寄付に回されるということですが、それぞれのチャリティ団体にとって、これらのチャリティショップの売り上げはかなりの重要な資金源になるとのことです。 さて、チャリティショップで売っている物の内容ですが、 いかにも不用品という、くたびれきった洋服や雑貨もあるにはありますが、 ちょっと探してみると、意外な掘り出し物も沢山あります。 日本の古着屋で売っていたらビンテージとして凄い高値が付くんじゃないかと思うようなジーンズやジャケットなどもあれば、ロンドンの人気アパレルショップの昨シーズンの商品が、なぜか新品のままタグ付きで出ていることもあります。他にも、アンティークのようで可愛い食器や各種CD、DVD、本などもあり、しかも値段は、フリマ終了10分前並の価格!実際、日本の古着ショップや雑貨ショップのバイヤーが、買い付けの為にイギリスのチャリティショップを回るのも良くある話だとか。 ということで、渡英直後からチャリティショップはまるで宝探しのようで大好きだったのですが、 最近買ったのはこちら。 ディズニーの絵本集。一冊89ペンス。 小さい生徒さんや付き添いでくる子供達の為の、レッスン待ち時間用です。 早速大活躍で、一番の人気は「モンスターズインク」。 こちらはキレイな柄の日本の湯呑み4個セット。なんと4個で1.6ポンド! 側面にMade in Japanというシールが貼ってあるままだったので、多分新品です。 日本から持ってきていた湯呑み茶碗を、最近一つ割ってしまったばかりだったので丁度良かったです。 現在全英で6500店舗あるといわれ、イギリスの小売業界にとっては最大の脅威になっているというチャリティショップ。その起源は救世軍が貧しい人々に中古の衣服を販売していた19世紀にまでさかのぼるそうです。 その後、現在の形のようなチャリティショップが建てられたのは第二次世界大戦後。 ナチスによって占領されたギリシャにおける深刻な飢餓を救済するために設立された「Oxfam」が、1948年にオックスフォードに建てたのが最初のチャリティショップだとのことです。 ------------------------------- このブログでも何度か話題に取り上げましたが、イギリスにおけるチャリティの一般社会への浸透度やその規模の大きさは色々な場面で驚かされます。 イギリスにはチャリティ法があり、チャリティコミッションに登録している団体は現在なんと20万団体以上。エリザベス女王も約700ものチャリティ団体の総裁をしているそうです。歴史も古く、既に一世紀には、慈善団体のようなものが存在していたという説もあるほど。 実際にチャリティ団体が急増したのは、19世紀に入ってから。産業革命により経済の格差が広がり、しかしそれと同時に、「富める人ほど 社会に還元するのが当たり前」という観念も、自然と浸透していったそうです。 うーーん、素晴らしい。 日本人の感覚だと、敗戦という歴史的バックグラウンドを持っているせいか、生真面目な気質上なのか、「今余裕があっても、いつまた生活が困るか分からない。万が一のために少しでも貯蓄しておかなければ!」という方につい気持ちが向いてしまいがちな気がします。 イギリスに来てから私自身が参加or見学させて頂いたチャリティイベントというと、 毎年、総額何十億円もの寄付金が集まるロンドンマラソン、 Oxfamが主催しているケンブリッジのウォーキングイベント、 昨年演奏させて頂いたホスピスのチャリティコンサート、 など、それぞれ規模の違うチャリティイベントではあったけど、 そのどれにも共通していたのは、 皆が本当に「楽しみながら」、チャリティに参加していたというということ。 イギリス人とチャリティイベントなどの話をすると、必ずわくわくと凄く楽しそうに話す印象があります。きっと、小学校の頃からチャリティイベント等に自然と関わってくる中で、 「チャリティ=楽しいもの。わくわくするもの」 という、日本人からするとちょっと意外な公式が頭の中に出来上がっているのかなぁ・・と思います。 例えば、「笑いが人間を救う」というコンセプトで活動する「Comic Relief」というチャリティ団体が主催する、国民的チャリティイベント「Red Nose Day」は、一般市民から学校の先生、果ては首相まで、国民皆で赤い鼻(スーパーなどで販売され購入代金が寄付となります)を付けたりと、イギリスらしいユーモア満載のチャリティイベントも沢山あります。 正直、日本に居た頃は、募金活動とかチャリティ活動というと、「さあ活動しましょう!」みたいな気負いや、人前で堂々と良いことをするのは恥ずかしいみたいな変な気恥ずかしさを感じてしまっていたのだけど、こんな風にエンターテイメントと融合しながら、社会の中に自然と組み込まれていると、気負いどころか 「自分は純粋に楽しんでいるだけのつもりが、結果的に誰かの為にもなっていた」 という位自然な感覚で参加できる気がします。 家の中の不用品を寄付すれば家が片付いて嬉しいし、安い値段で掘り出し物が見つかったらラッキー。マラソンやウォーキングも、出場する本人も思い出になって楽しいし、募金をして応援する友達や家族も楽しい。 そしてその寄付金によって助かる人たち、Happyになれる人たちがいる。 こんな風に、チャリティ活動によって、関わる人たち皆がハッピーになれるシステムが社会の中にしっかりと根付いているというのは、本当にすばらしいことだな・・と心から思います。 -------------------------------------------------------------- <上記に登場したチャリティイベントの際の日記はこちら> ケンブリッジを歩くウォーキングイベント「Oxfam Walk」 (2007年6月) ロンドンマラソン (2008年4月) チャリティコンサート(2008年6月) <ソース> チャリティショップ100%活用術 http://mamimcguinness.com/wp-content/articles/charity1.pdf イギリスのチャリティ事情 http://www.ukinfo.jp/culture/charity.php
by sayaka-blmusic
| 2009-04-05 17:43
| ロンドンでの日常生活
|
by sayaka-blmusic
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