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ファイナルリサイタル直前 悶絶日記 No.3 「プログラムノート作り~イメージの練習」

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ロイヤルアカデミーの修了リサイタル試験では、本番の際に、
演奏だけでなく、自作のプログラムとプログラムノート(曲目解説)を提出しなければいけません。

これは日本の音大では(少なくとも桐朋では)ないシステム。
でも、すごくいいことだな、と思う。
どちらにしろ、自分の弾く曲の背景などについては調べなくてはいけないし、
それを一つのカタチにしてお客様に配る形にする、という作業を自分自身ですることによって、ただ「試験で演奏する」、というだけでなく「演奏会を開く、お客様に聴きに来て楽しんで頂く」
という意識に、自然となっていくし。


前々から、図書館で、何冊も本を借りて、色々調べていたのだけど、
なかなかまとまらず、
今日は試験前日だというのに、朝から夕方すぎまでプログラム作りにかかりっきりで
肝心のピアノの練習は夕方まで1分もできず。。。

最終的にまとめる量は3ページ分くらいなので、そんなに長くないんだけど、
何せ膨大な量の資料から、載せたい情報を厳選するのが大変。

あれも載せたい、これについても書きたい、と思うことがたくさんある一方、
これは書かない方がいいかも。。。ということがあったりで、
なかなかまとまらない。

例えば私の弾く
モーツァルトのソナタK.533/494 F-majorの曲は
実はモーツァルトが友達への借金返済のために慌てて書いた曲なんだそうなんだけど、そんなことプログラムには書かない方がいいしなぁ。。。。

あと、ドビュッシーの「喜びの島」も、
実は不倫の女性との幸せな日々を送っている最中に書いた「不倫ソング」らしいんだけど、
うーん、これもプログラムには書かない方がいいか。。。。


その他にも、調べてて面白かったエピソードをいくつか。


ラフマニノフ「音の絵」Op.39 No.6「赤頭巾ちゃんと狼」

ラフマニノフはこの曲を書いた時に、ちょうど4歳と8歳の子供がいたらしい。
しかも、よく寝る前に子供にお話を聞かせてあげる習慣があったらしいです。
この曲も、子供にお話をしてあげてる時に思いついたんじゃないかという説が載っていたけど、うーーーんそれはどうかと思うわ(笑) だって、この曲、明らかに最後、狼が泣いてる赤頭巾ちゃんをばくっと食べて終わっちゃうんだもん。。子供には残酷すぎでしょ^^;


ラフマニノフ「音の絵」Op.39 No.7「葬列」
3ページ目から、「いかにも雨の音!」という暗い重い16分音符のスタッカートが出てくるのだけど、この部分は、ラフマニノフ自身が「希望のない雨の音を表した」と公言していてびっくり。
モスクワ音楽院時代にスクリャービンと同期で、「良きライバル」だったらしいんだけど、
この曲を書いた少し前に、スクリャービンが亡くなって、ラフマニノフはその葬列に参加している。その日は、まさに、「雨の日」だったらしい。


こういうこと調べてると、イメージがうわわわーーっと膨らんできて、
「こういう風に弾きたい!」という思いが一層強くなってくる。

そこで、この日の最後の練習(といっても、もう2時間くらいしか残っていない)は

「イメージの練習」をしよう!!!

と思い立って、
ひたすら、それぞれの曲のイメージをどのくらい最大限にまで伸ばせるか、にかけてみた。


いつも本番前日って、
暗譜があやしいところの確認とか、
弾けないところの部分練習とかの「全体調整」だけをしているんだけど、

「ちゃんと弾こう」という練習をしていると、
本番が、こわいものに感じる。

でも、「こういうイメージを表したい」という練習をしていると、
不思議なことに、
本番が、すごく楽しみなものに感じてくる。


そういえば、
昨日あんなに痛かった腕や手の痛みは殆ど消えている。

今日は、一日中練習しているより、
こうやって半日以上プログラムを作りながら、
曲のイメージを膨らませて、
最後に、短い時間だけど、こういう練習ができて、
かえって、これで良かったのかも知れないな (^-^)

写真はやっとのことで出来上がった明日用のプログラム&プログラムノート(曲目解説) 。
表紙の絵は、「音の絵」の一曲目の着想元となったといわれている
Arnold Bocklin の"Playing in the Waves"です。
by sayaka-blmusic | 2006-06-01 21:06 | ラフマニノフについて
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