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地中海クルーズ7日目 イタリア・チビタベッキアに和服のマリア様?!

6日目の続きです。

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クルーズ7日目、最後の寄港地イタリアのチビタベッキア港へ入港。ローマへの玄関口としてイタリアでも有数の大きな港です。

ここからローマ行きのエクスカージョンツアーも沢山出ているのですが、ローマに行くのに片道1時間半近くかかり、丸一日かかるツアーで体力的にも負担がかかるというのと、つい3ヶ月前にコンサートでローマに行った際に、ローマ市内はソプラノ歌手の直穂子さんにじっくりご案内して頂いたので、今回は チビタベッキア港の近辺だけ半日ゆっくり観光してみることにしました。

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港にて下船。ここから殆どの人は1時間半ほどかけてローマにエクスカージョンツアーに向かいます。私達のように港の周りだけブラブラ・・という人は、かなり少数派みたいです。

というのも、チビタベッキア港の近くは一般的に知られるこれといった観光スポットもないようで、「地球の歩き方」はもちろんネットにも殆ど観光情報がありません。

そんな中、出発前にあるサイトで『チビタベッキア港は実はとても日本と関係が深い街で、 伊達政宗の命を受け、遣欧使節として通商交渉を目的にローマに赴いた支倉常長が上陸した港。それを記念し、チビタベッキアのある通りには「支倉常長像」が建てられている。また「日本人聖殉教者教会」もあり、壁画には世界でも珍しい「和服姿のマリア像」が描かれている』という情報を入手!

ちょうどタイムリーにも、その時偶然、夫が支倉常長に関する小説を読んでいたということもあり、これも何かの縁でしょうということで、「支倉常長像」と「和服のマリア様」の2つのスポットは是非行ってみようということになりました。


チビタベッキア港からチベタベッキアの市内までは無料シャトルバスで約5~6分。インフォメーションセンターで地図をもらって日本殉教者教会の場所を確認し、そこからビーチ沿いの道を10分ほどてくてく歩きました。

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ビーチにも街中にも殆ど人がいなくてガラガラです。やはり港町ではあっても観光の街ではないため、この街に滞在して観光を楽しむ人は殆どいないようです。この数日間、ひたすらめちゃくちゃ観光客の多い場所ばかりを廻っていたので、こういう寂れたガラーンとした雰囲気が、かえって新鮮で気持よかったです。

ちなみにこのチビタベッキアにも、第二次世界大戦までは数々の遺跡なども残されていたのですが、チビタベッキア港が当時ナチスドイツの潜水艦の拠点だったため連合軍から集中攻撃を受け、殆どの歴史的建造物などが破壊されてしまったそうです。

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そしてビーチ沿いの道から少し中に入ったところで日本人聖殉教者教会に到着。(住所:Viale della Vittoria, 39, Civitavecchia)

最初に建てられたのは1862年のことですが、上記の理由からやはり第二次世界大戦で破壊され、現在残っているのは戦後再建されたもの。壁画と天井画は日本人の 長谷川路可画伯によるものです。

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日本と関係が深い教会ということで、教会のあちこちに日本とイタリアの小さな国旗が飾られていました。

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中央奥に長谷川路可氏による天井画が見えます。

そして・・その中央に・・
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いました和服のマリア様!!
世界でも稀な和服姿のマリア様のフレスコ画です。

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この天井画はまだ制作途中だったとのことですが、完成する前に長谷川氏は病で1969年に亡くなってしまったそうで、この写真には写っていませんが真上部分は未完のまま残されています。日本人が描いたフレスコ画は、イタリア内でここのみとのことです。

この長谷川路可氏が、生前このフレスコ画について、真摯な心に染みる言葉を残されています。

『これら一連のフレスコ画を私の傑作だとは申しますまい。しかし私はこの仕事に私の全てを注ぎ込みました。筆のひとはこびひとはこびが祈りでした。誰かが、私のこの作品を賞賛しようがけなそうが、いっこうに構いません。私は私なりにフレスコ画を描き、それを主なる神に捧げました。』

人が賞賛しようがけなそうが構わない、傑作ではないかもしれない、でも自分の全てを注ぎ込んで一つの作品を作る・・、素晴らしいなぁと思います。そして彼のそんな姿勢は、この一連のフレスコ画から十分伝わってくる思いがしました。私もそんな姿勢で音楽と向き合っていけたら・・と思わされました。


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他にも壁画には、 1597年に長崎で殉教した日本人聖職者達がシーンごとに描かれています。

ヨーロッパ内でこれまで、大聖堂や教会など、星の数ほど見てきましたが、イタリアの港町の片隅にひっそりと、こんなにも日本と関係する歴史的な教会があったということに驚きです。


その後ふたたび海岸線にそってお散歩していると、
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ふと目にとまったイタリアンレストラン「Oltremare」へ。

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ミートソースのニョッキと、
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魚のソースのパスタ、
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ポテトとサーモンのピザの3品を頼んだのですが、この何気ない1皿1皿がびっくりするほど美味しかった!!胃がまだ完全復活していないので、そんなに沢山は食べれませんでしたが、今回の旅行中、船内での食事や寄港地での食事全部を含めてもNo.1 でした。食べ終わった瞬間、夫と二人で思わず店員さんに向かって「ブラボー!」と拍手をしてしまったほど。パスタ1皿7ユーロと値段も良心的。いやー下調べなしにふと入ったお店で、いきなりの大ヒットが来るとは思っていませんでした。チビタベッキアに行かれる機会があったらここは是非オススメです。 (「Oltremare」住所:Civitavecchia, Via Tarquinia1, Viale Lazio, 14, Campo dell’ Oro)


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そして再びチビタベッキアのメイン通りへ。街一番の大通りだというのにこの人気の無さ・・。

「支倉常長の像」が大通り沿いにあるかと思って、しばらくウロウロ探していたのですが見つからないので、通り沿いにあった小さな考古学博物館というのに入ってみました。ここも閑古鳥が鳴いていて、私達以外にお客さんがいなくて2、3階は真っ暗。中に入ったら館員さんが「あ、久しぶりのお客だ・・」とばかりに事務室から出て来て、やっと電気を付けてくれました。

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でもここが意外にも面白くて、ローマ時代の遺跡はもちろん、エトルリア時代などの発掘品も沢山。
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上の写真はエトルリア人の青銅細工の発掘品の一つなのですが、現代と全く同じ仕組みの安全ピン!!紀元前の時代から安全ピンがあったのですね〜!!驚き!


そして博物館を出た後「最後にやっぱり支倉常長の像を見たい!」ということで再び探し始めたのですが、私たちに分かっている情報は「Piazza Calamatta (カラマッタ広場)」というところの近くにあるということだけ。ですが手元の地図にカラマッタ広場は載っていません。とにかく道行く人にひたすらカラマッタ広場の場所を尋ねながら街中をうろうろ探しまわり、やっと「カラマッタ広場」らしき場所に到着しました。ですが、広場中どこを探しても支倉常長の像らしきものは見当たらない・・。

「ツネさーーーん、ツネさーーーーん」と呼びかけながら広場のまわりをうろうろ探し続けていると、

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とうとうツネさん発見———!!
鳥のフンまみれになっていて可哀想な姿になっていましたが、それでもすっくと立派に立っていらっしゃいました。

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伊達政宗の命を受け1615年にここチビタベッキアに上陸した遣欧使節団団長、支倉常長氏の銅像です。Google Map ストリートビューでも発見したので、もしよかったらこちらでもご覧下さい。
チビタベッキアの支倉常長像(Google Map ストリートビュー)

支倉常長はローマ法王に謁見を許され、それどころか正式にローマの市民権を与えられると共に、貴族に列せられます。ちなみに伊達政宗といえば宮城県、このチビタベッキア市は宮城県石巻市と姉妹都市で、石巻市にも同じ銅像が建てられているそうです。

現代では、私自身含め日本から沢山の人々がこうやってヨーロッパに留学したり生活したり、旅行に来たりしているけれども、その日欧交流のきっかけの一つはこの支倉常長の功労によるものだったんだ・・と思うと、今回ヨーロッパの地中海旅行の最後に、こうやって彼の像の前に立たせて頂いていることが、なんだか不思議なご縁を感じました。(ちなみに初めて日本人がヨーロッパに行ったのは、支倉常長より少し前の1552年頃のことで、ザビエルが最初に洗礼を授けた日本人「鹿児島のベルナルド」だそうです)

ということで、全く期待していなかったのに、日本人にとっては見所満載だったチビタベッキア。クルーズでローマ近辺にいらっしゃる方は、寄港は必ずチビタベッキア港になると思いますので、お時間があったら是非港の周りもお散歩もオススメです。

以下のリンクは、Colossusさんが作成された、チビタベッキア近辺の見所のまとめ(Googleマップ)です。
今後チビタベッキアに行かれる方は是非ご参考にされてみて下さい。
http://bit.ly/Civitavecchia

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夕方、船に戻って出航。バルコニーに出てみると、向こうにサルディーニャ島らしき明かりが見えました。つい先日ちょうど日記にも登場したサルディーニャ島、遠くの明かりだけでも拝む(?)ことができて良かったです。

ジェノヴァ下船組にとっては今日が最後の夜ということで、船内のパーティやバー、カジノなどに繰り出す人たちも多かったみたいですが、さすがにその体力は残っていないので(^-^;)、ルームサービスでワインとノンアルコールカクテルを頼んで、遠くサルディーニャの明かりを見ながら、クルーズ無事終了を二人で乾杯しました。

これで最後の寄港地も終わってしまいました。あとは明朝にクルーズの出発地だったジェノヴァに戻るのみ・・。出発前は長いかと思っていた7泊8日の旅ですが、過ぎてみるとあっという間。この一週間で、すっかり自分たちの部屋のようになって居心地良くなってしまったこの船室も、明日には出て行かなくてはいけないんだと思うと寂しい気持ちです。うーん、このバルコニーと海の景色だけでもロンドンに持って帰りたい!


クルーズ最終日、ジェノヴァ編に続きます。
by sayaka-blmusic | 2010-10-11 22:56 | 地中海クルーズ2010
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